著者
日本社会学会・社会学教育委員会
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.63-86, 1996-06-30 (Released:2010-05-07)

今日, 日本の大学では, 一般教育改革, 学部カリキュラム再編, 大学院改革等があいついで行われている。日本社会学会・社会学教育委員会では, 一般教育改革をはじめとする今日の日本の大学改革が, 日本の社会学教育にいかなる影響を及ぼしているかを把握するために, 社会学教育の内容, 方法, 社会学部・学科卒業生の就職動向, 資格志向, 大学院がかかえている問題等に関し, 各大学を対象とする調査を行った。以下, 1993年から1994年にかけて実施した138学部・学科・専攻等を対象とする調査から把握されたファインディングスを列挙する。1. 大学改革のトップは自己評価・自己点検で81.2%, 2位が履修内容や教育方法等の改革で78.3%, 3位がカリキュラムの抜本的改革で66.7%, そして教養部廃止・再編等の制度改革が63.0%であった。2. 特にカリキュラム改革は現在も進行中の大学が多く, 過半の学部・学科において取組まれている。3. 社会調査法を開講する学部・学科・専攻等は81.9%, 社会調査実習は64.5%であった。4. 社会学履修に関わる資格認定の方向性の追求が必要というもの31.2 %, あっても良い程度の賛意が34.8%であった。5. 大学院が抱える問題の第1位は教育研究支援職員の不足, 第2位は実習・調査費用の不足, 第3位は奨学金の不足であった。6. 大学改革の影響は大きく, 一般教育段階における社会学の比重が軽減, あるいは他の諸科学との境界が弱まりつつあるようにみえる。その波及効果は学部, 大学院にも及び, 我国の社会学教育はいま大きな変動の真只中にある。