著者
日本農薬株式会社開発部登録センター
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.655-657, 1986-11-20

各種毒性試験を実施し, ブプロフェジンの安全性評価を行なった.本剤のラット, マウスにおける急性毒性は弱く, 普通物に相当した.眼および皮膚に対する一次刺激性もきわめて軽度であった.亜急性および慢性毒性試験においては, 高薬量群で体重増加抑制, 中・高薬量群で肝の重量あるいは体重比の増加, 肝細胞肥大が認められた.これらの変化は化合物を代謝分解するための肝機能亢進像と解釈される.また本剤は変異原性を有さず, ラット慢性毒性試験においても本剤によると思われる腫瘍発生は認められなかった.さらに, 催奇形性も認められず, 胎仔や次世代にも悪影響を及ぼすことはないと考えられる.本剤は, 昭和58年12月に, イネ, ムギ類, キュウリ, ナス, トマト, カンキツ, チャの対象害虫に対して登録を取得し, 登録保留基準値は, コメ; 0.3 ppm, ムギ・雑穀; 0.3 ppm, 果実(ナツミカンの外果皮を除く); 0.3 ppm, ナツミカンの外果皮; 2 ppm, ヤサイ; 1 ppm, チャ; 5 ppmと設定された.ブプロフェジンは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が高い薬剤であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.