- 著者
-
日置 智紀
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2008
年齢が100万年程度、質量が太陽程度の恒星(Tタウリ型星)の周りにはガスやダストで形成されている原始惑星系円盤と呼ばれる構造があり、この円盤内の物質の一部は惑星を形成し、残りの多くは中心星へ降着している。また、質量放出現象としてアウトフローと呼ばれる双極流が円盤の垂直方向に吹き出している。これらの星周構造は、中心星の周りのダスト起源の熱放射を捉える多波長測光観測などの間接的手法によって盛んに研究されてきた。さらに、ハッブル宇宙望遠鏡や補償光学を搭載した地上大型望遠鏡の登場によって、高空間分解能による星周構造の直接撮像が可能になってきたが、その観測対象の多くは単独星である。本研究対象であるFS Tauは離角が約0.2秒角(30 AU)のTタウリ型連星系である。この連星は半径1400AUに広がった反射星雲に覆われているが、これまでの観測では周連星円盤は発見されていない。我々はすばる望遠鏡のCIAOを用いた観測を行い、さらにハッブル宇宙望遠鏡の可視光偏光観測で撮られたアーカイブデータと合わせて、この連星に付随する2つの周連星構造を検出した。1.周連星円盤:この円盤の半径は約4.5秒角(630AU)、軌道傾斜角は30-40°程度である。円盤の外側は、内側よりもフレアしている可能性がある。近赤外域では、この円盤の南東側が明るく、北西側が暗い。これは、周連星円盤内のダストの前方散乱が原因と予想できる。一方で、可視光では北西側が南東側よりも明るいことがわかった。これは、FS Tauから約2800AU離れた若い星(Haro6-5B)からの放射が原因である。我々はFS Tauの北西側の偏光データから、Haro6-5Bからの光とFS Tauからの光が「混合」している証拠を見つけた。2.アーム構造と空洞:近赤外線と可視光の両画像で、空洞を取り囲むように存在するアーム構造が見られた。この構造は、FS Tauから吹くアウトフローによって形成されたか、または周連星円盤内の物質密度むらによるものであろう。