著者
江田 早紀 日高 三喜夫
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.43-50, 2007
被引用文献数
2

本研究の目的は,対人感受性尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである。大学生338名を対象に仮尺度について因子分析を行った結果,第1因子「否定的感受性」因子(27項目,α=0.94),第2因子「肯定的感受性」因子(12項目,α=0.91)の2因子39項目を抽出した(累積説明率42.8%)。さらに,再テスト法により,相関係数を算出した結果,第1因子「否定的感受性」因子はr=0.83,第2因子「肯定的感受性」因子はr=0.70とそれぞれ強い正の相関が見られた。また,日本語版社会的スキル尺度(榧野,1988)を用いて,作成した尺度の併存的妥当性を検討した結果,情緒的感受性尺度との相関係数がr=0.44,社会的感受性尺度との相関係数がr=0.54であり,いずれも中程度の相関が見られた。今後の課題としては,被検者を増やし,様々な年齢層を対象に調査を行うことにより,本尺度の信頼性および妥当性をさらに高めること,尺度の得点範囲について厳密な範囲設定を行うことなどが挙げられる。