著者
早川 淑人
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.616, pp.616_165-616_184, 2012-03-31 (Released:2013-08-02)
参考文献数
9

PTA団体では安全補償制度として各種保険を採用しているが,社会環境の変化と活動の多様化から,活動の実態から乖離した補償内容になりつつある。特に,法律と保険約款における「学校管理下」の解釈の相違,授業補助や少子化による他社会教育団体と連携するPTA活動では,保険金・給付金支払いの可否が問題になることがある。本稿では,PTA活動の現状を調査分析し,『新・教育基本法』の観点から必要とされる補償内容が実際に商品化されるまでの安全補償制度上の諸問題を考察し,(1)団体活動上は,活動方法が社会の流れとともに変化する点,(2)補償上は,保険商品が作られた当時とは社会背景が異なっている点,(3)安全補償制度上は,学事歴と保険始期が一致しないなどの運営上の問題点があると指摘した。これらは子どもの成長過程に応じた教育課程単位でのPTA専用商品の開発や,社団法人日本PTA全国協議会などの全国組織を契約者にすることで一定の解決が図られると思われる。
著者
早川 淑人
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.620, pp.620_241-620_260, 2013-03-31 (Released:2014-09-17)
参考文献数
1

PTA団体傷害保険,学校契約団体傷害保険,PTA管理者賠償責任保険などで構成される現在のPTA 安全補償制度を,アンケート結果から分析するとともに,補償ニーズを中心とした制度運営上の諸問題を考察したものである。現在のPTA安全補償制度において,補償ニーズと補償内容の最大の相違点は,(独)日本スポーツ振興センター法と保険約款での「学校管理下」の解釈の相違である。また教育基本法では,各種の社会教育団体や町内会との連携活動,学校教育施設や社会教育施設の相互活用を推進している。しかし保険での補償は,PTA活動内容や活動方法によっては補償対象外になるなど,補償内容は社会の変化や補償ニーズに対応しきれていない。これらは従前の学校内を中心としたPTA活動ではなく,社会教育団体として地域と一体化したPTA活動に視点を移すこと,日本全体のPTA組織メリットを生かした保険商品開発が行われることで一定の解決が図られると思われる。