著者
保科 利一 早栗 操
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.76-80, 1952-04-30 (Released:2011-07-04)
参考文献数
2

鳥取縣、多稔池に産するワカサギの体腔に寄生する線虫類の一種に就て調査し、次の結果を得た。1. 本虫はFlhilometra opsaliohthydis YAMAGUTI, 1935に同定される。2. 本虫は肝臓、腸間膜、生殖腺等の表面に寄生し、多数寄生せる場合は集團をなして居り、從って腹部に多少異常な膨出があり、外部から寄生を察知される。3. 寄生率は1才魚より2~3才魚に於て著しく大である。又1尾當りに寄生せる虫体數に於ても同様である。然し性別による寄生率及び1尾當りに寄生せる虫体數に有意義な差異はない。4 調査時期 (1951年2月及び3月) に於ては感染魚と非感染魚とで肥満度に有意義な差異を認めなかつた。5.調査時期 (1951年3月5日) に於ては寄生虫の大多数は未熟虫であつて、子宮丙に幼虫を形成せるものは174個体中3個体槻察されたに過ぎなかつた。又魚体腔中に發見された極く幼少な虫体は体長7~10mm程度のものであつて、この大きさのものでは♀虫に陰門の開在が認められ、其の位置は尾端より体長の大約I/3附近である。6.上記の材料中に♂虫は發見されなかつた。