著者
彌吉 眞澄 早津 栄蔵 吉岡 守正
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.684-691, 1989
被引用文献数
3

<I>Mycoplasma pneumoniae</I>感染により, 菌分離ならびに免疫応答のみられることが確認されたBALB/cマウスを実験モデルとして, <I>Mycoplasma pneumoniae</I> FH-P24および非溶血弱毒変異株P24-S1, P24-S11で生菌免疫した生菌免疫群, またそれらの抗血清での受身免疫群において感染防御実験を行った.<BR>生菌免疫による防御効果は免疫回数に関係なく, 免疫8週後ではFH-P24, P24量S1免疫群ともに70%, 12週後ではFH-P2480%, P24-S160%であった. 一方P24-S11と非免疫対照群との間に差は認められなかった.<BR>受身免疫ではIgG抗体価と感染防御効果とは必ずしも平行しなかった. 親株抗血清による防御効果は20%にすぎなかったが, これと同じ結果を得るためには, P24-S1, P24-S11ともにその10倍=濃度の抗血清が必要であった. また, ヒトマイコプラズマ肺炎患者血清とのWestern immunoblottingによると, P1抗体に対しては親株, 変異株ともに強い反応を示したが, およそ85KDaの強いbandはP24-S11には全くみられなかった.