著者
明田 裕
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.620, pp.620_117-620_129, 2013-03-31 (Released:2014-09-17)
参考文献数
2

巨大災害による保険金支払自体が生保会社のソルベンシーに与える影響はさほど大きくないが,巨大災害は同時に生保の保有資産に大きな影響を与える。日本経済が大きな打撃を受けることから,トリプル安(株安,円安,債券安)を想定するのが自然だが,今回の東日本大震災後に円高が進んだように,すべてが生保にとってマイナス方向に動く可能性もある。巨大災害が発生した場合,生保各社には,何にもまして,早く間違いなく保険金を支払うことが求められ,そのためには,「マイナンバー」を利用できるようになることが有効である。加えて,(1)生保の災害関係特約と損保の傷害保険の免責条項等の相違,(2)被保険者と受取人の同時死亡の場合の新受取人についての各社の取扱の相違,(3)「震災関連死」認定と生保の災害死亡判定の相違の3点について,極力統一し被災者に分かりやすいものとすることも検討する余地がある。