著者
明谷 早映子 岡 明
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_42-1_53, 2021-01-31 (Released:2021-03-15)
参考文献数
28

本研究の目的は,大学内の活動について利益相反発生の構造とリスクを明らかにし,実効的かつ効率的な利益相反のマネジメントに資する知見を提供することにある.米国大学の利益相反ポリシーの分析から,大学で利益相反マネジメントの対象とすべき活動や,産業界からの経済的利益によるバイアスが影響しうる大学・大学研究者の意思決定の対象が明らかになった.また,研究活動の質と関係が深い撤回論文の分析から,論文公表の段階では,利益相反マネジメントがうまく機能しなかったことによるリスクは,データ・画像・研究結果に対する信頼性が失われるという形で顕在化する等,バイアスや利益相反によるリスクの具体化と対応策の策定に資する結果が得られた.