- 著者
-
星 勝広
- 出版者
- 新潟大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2008
ホログラム技術は、立体像の記録技術として広く知られているが、視覚を介して強いインパクトを与えることができるため、光技術の教育素材として大変魅力的である。しかし、ホログラム記録用銀塩乾板の入手が困難になったため、代替品として高感度・高解像度フォトポリマー薄膜を開発し、光技術教育への利用可能性について考察を行うこととした。記録材としては、回折効率・解像度に優れたアクリルアミド系フォトポリマー(ポリビニルアルコール[以下、PVA]、アクリルアミド[AA]、トリエタノールアミン[TEA]、メチレンブルー[MB]の混合液)を研究対象とし、各薬品の添加量を変えた混合液を板ガラスに塗布し乾板を作製した。記録方法は、レーザビーム(He-Neレーザ:出力10mW)をハーフミラーで2本に分け乾板面のある一点で干渉させ位相型ホログラム記録した。測定は、シャッターをコンピュータ制御し、露光開始から5s毎に干渉部からの回折光強度を測定し300sまで行った。また、レーザ光の強度・乾板面に対するレーザ光の入射角(対乾板面法線)等を変え同様の測定を行った。結果、薬剤分量として重量比10%のPVA水溶液100mlに対しAA(7.11g)、TEA(14.92g)、MB(9mg)で最大回折効率80%以上を達成した。また、露光条件としてレーザ光強度15mWで露光時間5s、光の入射角10~30°で露光時間が短く高回折効率が得られた。これらの結果を元に、過去に行っていたホログラム記録用光学系を用い物体の記録を行った結果、観察可能な再生像が得られ、光技術教育への利用可能性が確認できた。また、記録像の観察時、乾板がほぼ透明で膜表面が滑らかなこともあり乾板表面の反射光や乾板背後からの背景光が意外と気になり、再生像が観察しづらいことも分かった。