著者
名古屋 貢
出版者
新潟大学
雑誌
環日本海研究年報 (ISSN:13478818)
巻号頁・発行日
no.16, pp.63-75, 2009-02
著者
殷 志強
出版者
新潟大学
巻号頁・発行日
2012

第六章では、関東軍の主宰により作られた大奉天都市計画の実行や満洲国期における瀋陽の社会変容を取り上げる。とくにその時期の奉天市政発展の成果や問題を総括的に考察した。まず奉天の特別市制問題や治外法権の撤廃問題など奉天市の発展に関する重要な問題を考察し、日本と満洲国側の微妙な相違点を明らかにした。満洲国の成立により、奉天市の発展は日本の意志に従属せざるを得なかったが、傀儡の立場にいた閻市長を中心とする一部の満洲国官吏は一定の自主権を求め、日本と協力しながら奉天の発展をはかろうとした。そのような傀儡政権の中に一定程度の自立を求めることは満洲国期の奉天都市発展のもう一つの重要な特徴である。また、満洲国期における大奉天都市計画の施行の実態を考察し、道路の敷設、奉天市内交通の整備、水道の進展の状況を検討した。これらの考察を通してさらに奉天の社会変容を明らかにした。第七章では、これまでほとんど利用されていなかった『日本関東憲兵隊報告集』といった資料を分析しながら、民衆の日常生活の角度から都市の発展を検討する。満洲国期における奉天民衆の生活状況がどのように変化したかを考察し、とりわけ関東憲兵隊が押収した通信に隠された日中戦争期における奉天市民生活の実態を解明した。戦争の拡大により、多くの物資が日本に徴収され、奉天ではますます物資不足の状況が深刻化した。米や小麦粉の配給はなくなるのみならず、高粱、粟など代用食糧の配給も徐々に少なくなった。市民はやむを得ず闇市場の高価な食糧に依存した。しかも、餓死を待つという最悪の状況に陥った市民も数少なく存在した。市民の困窮した生活と異なり、一部の日本軍人は贅沢な生活をしていたことも資料から読みとれる。とにかく、本論文は近代奉天市の都市発展と市民生活を三つの段階に分けて、それぞれの時期の特徴を明らかにしつつ、日露戦争から終戦までの奉天市の発展図を描いた。
著者
森下 修次
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

佐渡市春日地区の祭礼「鬼太鼓」において地元の奏者と在米日系人IV世の演奏を録音し,ProTools によりIOI の計測を行った。その結果、付点音符(例えば〓など)に相当するリズムの比の値が地元の奏者は3.3:1、在米日系人は3.6:1 であった。このことは地元の奏者に比べて在米日系人が長い音符はより長く,短い音符はより短く演奏する傾向が示唆されるものと考えられる。また、同じ曲において日本語で歌われる場合と英語で歌われる場合はどのようにリズムが変化するのかを市販のCD を用いて分析した。その結果英語の方が長短を強めてうたう傾向があることが分かった。これは英語をはじめとした外国語は発音される音に長短が混合するシラブル構造だが、日本語はモーラ構造、すなわち母音と子音を一まとまりとする音が、等拍で発音されることによる影響が考えられる。
著者
関 奈緒 齋藤 玲子 佐々木 亜里美 田邊 直仁 岩谷 淳 岡崎 実 磯谷 愛奈 大面 博章
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,(1)学区内の地域住民のインフルエンザ発症率と学童の発症率は強い正の相関を示すこと,(2)児のワクチン接種及び「こまめな手洗い」には発症予防効果が認められるが,「マスク着用」は発症リスクを増加させること,(3)情報提供シートのみの行動変容介入は十分ではないことを明らかにした。学童の発症予防は地域の流行制御対策の核であり,予防行動の実施促進に向けたより効果的な介入方法が必要と考えられた。なお,3日以上の学級閉鎖(学年・学校閉鎖を含む)は当該学区における閉鎖後の学童の発症率抑制効果が認められたが,地域住民の発症率抑制効果は認められなかった。
著者
齋藤 陽一
出版者
新潟大学
雑誌
大学教育研究年報
巻号頁・発行日
vol.9, pp.5-7, 2004-03

音声ファイルの作成には、ローランド社のオーディオキャプチャー用の機器、UA-20(図1)を購入して、利用した。図の右下の部分がオーディオ入力用の端子で、ラジカセのヘッドフォン端子から、ここへケーブルをつなぎ、USBケーブル(図の左上の部分)でコンピューターのハードディスクに音声を取り込む。実際には、授業中にカセットテープからMDに録音したものを使っていたため、このMDから録音したが、普通のカセットでも高音質で録音することができる。録音する際に、単語一つ一つ、カセットテープをとめて、ハードディスクへの録音をするということも可能だが、煩瑣であることは否めない。そこで、今回は、10課まである教科書の1課ずつの音声ファイルを作成し、一つ一つの単語の部分をコピー&ペーストすることで、単語一つ分のファイルを作った。例えば、図2が、1課分の音声ファイルの波形であるが、それを拡大(このソフトでは、表示する音声ファイルの長さを変更することができる)したのが、図3である。この一つの波が単語1個分にあたる。これをコピーして、新規のファイルにペーストして、音声ファイルを作成した。授業時間は月曜日の1限と水曜日の2限、学生数は、当初の登録学生数は理学部、工学部の27名、12月末現在で、26名である。教室は、学期のはじめは、普通教室が割り当てられていたが、水曜日の2限は、第3LL教室に変更し、パソコンを利用したLL装置を用いた。最初の計画では、昨年までこの教室のメインコンピュータ一にインストールされていた教材配布ソフトを利用し、各学生のブースに教材を配布するつもりであったが、このソフトがウィルス対策が施されていないという理由で、アンインストールされており、利用することができなかった。また、昨年は、学生が教室外のWEBサイトを利用するには分室アカウントを取得する必要があったが、今年度は、正式に確認はしていないが、その必要はないようであった。そのため、教材をすべて報告者の研究室のサーバーにおくことも考えたが、27名の学生が一度にアクセスした場合にそれに対応できるだけの性能を有していないので、結局、進度に合わせて、学習を終了した課までの単語練習ソフト(昨年も利用したもの)に、音声ファイルを付加したものをCD-RWにコピーし、それを授業開始時に学生に回し、各ブースのコンピューターへコピーしてもらった。12月の最後の授業の際に、各課の単語問題とその音声ファイル、動詞の変化の問題、名詞の格変化の説明、さらに昨年度の最終試験の問題をWEBブラウザを利用して閲覧することができるものをCD-Rに焼いて、配布した。
著者
足立 祐子 鄭 賢熙
出版者
新潟大学
雑誌
国際センター紀要 (ISSN:13461583)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-42, 2006-03

We have examined whether ideas containing gender bias occur in Japanese and Korean language textbooks used throughout Japan. Our analysis show the presence of stereotypes linked to gender differences within these textbooks, mainly occurring in cut-in illustrations and text in the format of conversation dialogues. Among these, ideas which show a pre-established assumption of the gender of a person solely on the basis of the exercising occupation or performing role within a family home were especially common. Language school teachers should be aware of those biased ideas not only related to gender bias, but also associated with cultural differences as well. Moreover, we believe there is a further need for more appropriate teacher's training programs in order to encourage gender bias free thinking and avoid culturally induced misconceptions.
著者
吉田 奎介 白井 良夫 塚田 一博 川口 英弘
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

初年度と2年度にはMCPAとBOPの至適投与量に関する基礎的検討並びに農薬検出法の検討を行った。最終年度は、MCPAのBOP胆嚢発癌促進作用並びに胆石症患者胆汁中の農薬排泄の有無につき検討した。1. BOP長期投与によるハムスタ-胆道上皮の変化及びMCPA同時投与の影響: (1)BOP単独投与の効果;BOP20ppm含有水を摂取させ、20週で肝内に細胆管増生86.7%、異型上皮20.0%、肝外胆管に異型上皮6.7%、胆嚢に異型上皮6.7%の発生を認めた。(2)MCPA単独投与の効果:MCPA 4000ppm含有固形飼料摂取20週で肝内には細胆管増生を60.0%に認めたが、異型上皮の発現は認められなかった。(3)BOP,MCPA同時投与の効果:肝内には細胆管増生100%、異型上皮12.5%を認め、肝外胆管に上皮内癌6.3%、異型上皮31.3%を認めた。 小括:MCPA単独では胆道に異型上皮を誘発しなかったが、BOPによる異型上皮の発生を有意に(P〈0.05)促進し、少数ながら胆管癌の発生を誘発した。今回の実験では、胆嚢に異型上皮は発生しなかった。2.人胆汁中農薬の検出について: 人胆汁中にCNPが1pg/μ1、p,p'ーDDTO.8pg/μ1及びBHC(痕跡)が検出された。しかしMCPAは検出されなかった。〔結論〕MCPAは、BOPによる胆嚢の異型上皮の発生を促進しなかったが、胆管ではBOPによる異型上皮の発生を促進した。この結果より、MCPAは胆道上皮に対して発癌プロモ-タ-作用を持つ可能性が示唆された。人胆汁中では、MCPAは検出されなかった。今後、土中ならびに人体内でのMCPAの分解・代謝過程を明らかにし、MCPAならびにその代謝産物の胆汁中排泄の有無を確認したい。疫学上胆道癌死亡率と関連性有りとされたCNPが胆汁中に検出されたことより、その発癌作用についても検討する必要がある。使用禁止後長期経過した農薬が未だに人胆汁中に検出されたことから、体内残留農薬の発癌への影響についても検討が必要と考えられた。
著者
若月 俊二
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.8, pp.389-392, 2004-08-10

泌尿器科におけるEndocrine Disrupting Chemicals (EDCs)の影響は精子数の低下,生殖器異常の増加,前立腺ガンの増加などがある.Skakkebaekらは一連の男性生殖機能障害をTesticular Dysgenesis Syndrome (TDS)と提唱した.TDSは胎生期の性成熟過程に何らかの環境要因が加わって攪乱が起こって生じた結果であり,特定の疾患や症状を指すではなく,広範囲に尿道下裂,停留精巣,男性不妊などを起こしうる.TDSは遺伝的要因あるいは環境要因あるいは両方の要因によって引き起こされる可能性がある.尿道下裂は日本を含む先進国では増加傾向で尿道下裂児にはステロイド代謝異常が高頻度に認められるという報告や農薬の影響でベジタリアンの母親からの児に尿道下裂多いと考えられている.停留精巣の頻度は満期産児では3%,1歳児では1%程度と比較的多いが,増加傾向は一定でない.尿道形成と同時期に精巣下降は起こるが,そこにはAndrogen関与がわかっており,何らかのホルモン作用の阻害が考えられている.北欧などでは精巣腫瘍は増加傾向である.前癌病変のCISは不妊精巣,停留精巣,アンドロゲン不応症,精巣腫瘍の対側精巣に見られ,胎生期のエストロゲン過剰がCISへの分化誘因になるという指摘もあり,EDCsとの関連が示唆される.前立腺がんは臨床癌,ラテント癌年次推移では増加傾向がある.農薬と前立腺がん発生率との相関関係も散見される.以上より,尿道下裂,停留精巣,精巣腫瘍の増加の報告,尿道形成・精巣下降に何らかのホルモンが作問した可能性は示唆されるが,今までのところ,EDCsがヒトの先天奇形を発生させたという証明する報告はなく,先天異常のサーベイランスでも問題がある.人類の精子数が42%も減少したというCarlsenの報告に対する反証は多く,また精液検査の難しさもあって結果は出ていない.以上より,今後は環境要因が関与していると思われる精巣腫瘍,尿道下裂,停留精巣,不妊症などを地球規模で永続的に疫学調査を行い,検証していかなければ,EDCsとの関連は不明である.
著者
集冶 善博
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学農学部研究報告 (ISSN:03858634)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.103-108, 2005-03

筆者は、これまで様々な行動から搾乳牛の個性を検討する一連の研究を実施してきた。同時に、筆者は牛が人間に対して示す反応(対人行動)に関する研究も行ってきた。そこで、今回は、対人行動が、搾乳牛の個性を考える上で、どの程度重要であるかを検討するための研究を行った。村松ステーションの搾乳牛17頭の行動を調査した。搾乳牛の人間に対する行動を2つの側面から検討した。従来行ってきた牛舎に繋がれている牛に人間が接近あるいは接触しそれに対して牛が示す受動的な反応を記録する方法を放牧地においても実施した。これとは別に、放牧地において牛が自発的に人間に接触する行動を調査した。さらに、搾乳牛の身づくろい行動と社会行動も調査した。これらの結果を因子分析によって解析することによって、搾乳牛の個性を形成している要因を検討した。また、その個性における対人反応の重要性について検討した。観点を変えると、身づくろい行動は自己に、対人反応は人間に、さらに社会行動は同種の他個体に対する行動である。つまり、牛の行動の対象として、自己と人間と他個体の3つが存在することになる。そこで、搾乳牛の興味の対象としての人間の存在についても検討した。結果はつぎのとおりである。放牧地では、17頭のうち10頭が人間に対して自発的に接触した。その頻度には大きな個体差があり、全く接触しない個体もみられた。また、放牧地では、牛舎内で繋がれた状況での受動的反応に比べて個体差が大きかった。これらは、放牧地のような空間では、自発的には人間に関わらないという選択の余地があるためと考えた。また、牛の人間に対する行動の個体差は、身づくろい行動や社会行動のそれより大きかった。各個体の身づくろい行動、人間に対する行動、社会行動の計17項目の調査結果を因子分析したところ、第1因子は行動の対象に積極的にかかわっていこうとする性質、第2因子は人間に対する親和性、さらに第3因子は社会的優位性であると判定された。道に、身づくろい行動すなわち自己を対象にした行動は個性を形成する主な要因ではないと考えられた。このように、搾乳牛の個性において、人間に対する行動は非常に重要であることが明らかになったが、因子分析の結果を総合的に考えると、人間は搾乳牛にとって積極的に探査もしは接触してみる対象、好奇の対象である可能性もあると思われた。The importance of the behavour to the human in the behaviour of the milking cattle was examined. 17 milking cows of Niigata University Muramatsu Station were investigated. The behaviours to one human, like a nanny, in the inside of the cowshed and in the pasture were examined. Responses to the behaviour which the human did to the cows were examined, and numerical value turned in the cowshed. The behaviour which cows showed to the human voluntarily were examined in the pasture. The grooming and social behaviour of the cows were examined in another opportunity. A factor analyzed those results. The individual which licked a human was in the individual as well which it was in and which didn't touch it at all in the pasture. Scores in the pasture aligned with in the cowshed comparatively well. But, inthe pasture, there were cows which avoid a little from the human. Therefore, originally behaviour toward the human of the cows should be investigated in the pasture. The individual differences of the behaviour to the human were bigger than the grooming and the social behaviour. The first factor was thought about with the curiosity as a result of the factor analysis. The second factor was affinity to the human. The superiority or inferiority in the herd and aggresiveness were the third factors.

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著者
長岡 成夫
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学教育人間科学部紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:13442953)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.35-47, 2005-10
著者
鈴木 孝庸
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

臺灣大學圖書館特藏組所蔵・平曲譜本に関する研究成果。―この譜本は、波多野流譜本一点(零本二册)、平家正節二点(零本四册。零本十五册)、正節譜による平家物語一点(零本三册)である。虫損等甚だしかったため、特藏組における修復の支援を行った。修復の後、詳細な閲覧調査を行い、波多野流譜本と平家正節に関してほぼ終了した。調査と併行して臺灣大學圖書館によるこれらの譜本の影印刊行企画に関する話しあいを行い、三回に分けて刊行することが決まった。国内の平曲伝承資料の調査および写本等の入手。―8所蔵機関の平曲譜本を調査した。平曲譜本4点、當道資料4点を入手した。
著者
松岡 勝彦
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、青年期の自閉症生徒(公立高等学校3年生男子1名)を対象に、他者とのコミュニケーション場面における問題点を明らかにし、適切な対人スキルの獲得に必要な訓練方法や般化について検討した。家庭や訓練室におけるアセスメントの結果から、他者の情報提供(例えば,「昨日は東京でも雪が降ったらしいよ」など)に対する、文脈に応じた応答(例えば,「へえー」「そうですか」など)が標的行動とされた。当該スキルの獲得訓練は大学内の訓練室が使用され、ビデオ教材を用いた条件性弁別訓練と直接訓練が導入された。ビデオ訓練においては適切な応答をしている人を選択させる訓練、その人がどのように応答しているのかを答えさせる訓練などが行われた。また、直接訓練では訓練スタッフとの実際のコミュニケーション場面において、「ビデオではどうだった?」などとビデオ訓練と実際の場面を結びつけるような訓練を導入した。その結果、対象生徒は、ビデオによる条件性弁別訓練のみでは標的行動を生起しなかったが、直接訓練を合わせて行ったところ、標的行動を獲得し、家庭場面においても般化が見られた。アセスメント時の家庭におけるやり取りは、家族が情報提供を行っても、対象生徒は無応答や自分の好きな話をするなど、文脈に応じた適切な応答は見られなかった。そのため、家族はそれ以上会話を継続することがなかった。しかし、直接訓練後においては、家族が情報提供を行った直後に、対象生徒からの適切な応答が増えた。また、直後に応答がない場合でも、家族が情報提供を再度行えば、適切な応答が見られた。
著者
塩入 俊樹
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.20-24, 2006-01-10

本稿では,シンポジウム「災害医療の実情と展望:新潟中越地震の経験から」の中で,新潟大学精神科(以下,当科)が行った「こころのケア対策」について述べる.地震発生の翌24日,当科の染矢教授と新潟県福祉健康部健康対策課とで協議が行われ,被災地での精神科医療の一元化を図るために「こころのケアチーム」を編成し,それによる統制のとれた支援を行うことが決定された.更に同日には,精神保健福祉センターに「こころのケアホットライン」を開設.翌25日,当科と県立精神医療センターを中心に「こころのケアチーム」が編成され,我々のチームは情報収集を行いつつ,26日に現地入りした.当科の「こころのケアチーム」の活動エリアは長岡市の山古志村避難所で,当初は小千谷市も担当した.活動内容としては,各避難所を巡回・診療と,広報活動である.また,人口の多い小千谷市では,精神医療センターと協力し"こころのケア診療所"を開設した.山古志村の各避難所においては,延べ193件(93名)の巡回診察を行い,継続治療が必要な方は全て紹介状を作成して地域の医療機関での通院をして頂いている.主訴としては,不眠が一番多く,余震に対する過度の不安,食欲不振,抑うつなどもみられた.12月に入ると,被災者の方々が徐々に仮設住宅に移られ,新たな生活が始まった.この時点で災害時精神科初期医療はほぼその目的を終え,今後は中長期的な「こころのケア」を考えていく必要がある.そこで,我々新潟大学精神科では,以下の4つのケアプランを立て,村民の皆さんの負担にならないよう十分配慮し,かつ健康対策課とも密に連携しながら実践する予定である.(1)20年間にわたる松之山での自殺予防研究の経験から,山古志村診療所の佐藤良司先生を中心にして,看護師さんや村担当保健師さんも含めた勉強会を定期的に行い,うつ病等の精神医学的知識を修得し,それによって早期発見,早期治療をめぎす.(2)GHQのような健康度調査票を適切な時期に繰り返し行い,high risk者のピックアップとその情報を現地のスタッフに活用し,早期治療に役立てる.(3)村民の方を対象としたうつ病等の精神疾患の啓蒙のための小セミナーの開催.(4)地域行政職員を対象とした講演会の開催.これからが心のケアの本番と考えています.どうぞ皆様方のご支援,ご協力を宜しくお願い申し上げます.
著者
間瀬 憲一 岡田 啓
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

「避難所通信システム」は、避難所間を無線メッシュネットワークや無線マルチホップネットワーク等で結び、インターネットに接続することにより避難所間及び避難所と被災地外との間でメッセージ交換が可能となるシステムである。2011年3月11日の東日本大震災発生に伴い、宮城県東松島市に、無線マルチホップネットワークを構築し、本システムにより実際にサービス提供を行った。本稿では、サービス構想とシステム開発、東松島でのネットワーク構築とサービス提供をまとめた。
著者
斎藤 有吾
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、推し進められている高等教育改革において、「学習成果の可視化」は重要なキーワードである。学習成果とは、大学での学習の結果、得た知識、技術、態度などの成果を指す。そしてその可視化が多くの高等教育機関において精力的に取り組まれている。しかし、多くの大学で実施されている方法は、ディプロマ・ポリシーに対応するような評価であるとは言い難い。そこで、医療系単科大学の藍野大学を主たるフィールドとして、上記の問題を乗り越えるための学習成果の測定手段を提案し、その信頼性・妥当性・実行可能性を検討し、さらに他分野への適用可能性を検討する。