著者
星野 光太 岩村 惠市 小林 友宏
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2170-2183, 2019-12-15

近年,プライバシとは「個人が自らの情報を制御する権利」という解釈が一般的になりつつある.一方,映像サーベイランスの普及にともない,監視カメラ映像に関するプライバシ保護が重要視され,監視カメラ映像に映った被撮影者をモザイクなどで秘匿する手法が数多く提案されている.しかし,このようなアプリケーションではシステムがかけたモザイクをシステムが外すことは容易であり,個人が自らの情報を制御するという上記の意味での真のプライバシ保護を実現していない.そこで,本論文では小林らが提案した監視カメラ映像の顔を秘匿する方式を改良した新たな監視カメラシステムを提案する.提案方式は,監視カメラ映像を公開しても安全なように,被撮影者の体全体を段階的に秘匿し,公開された秘匿映像から特定の被撮影者を検索できるなどの特徴を加える.さらに,システムではなくアプリケーションごとに被撮影者がモザイクを解除できる鍵を適切に管理できる.よって,システム側による被撮影者の望まない秘匿解除は行われない.提案方式によって,被撮影者は監視カメラ映像が公開されても自らのプライバシを制御可能になり,真の意味でのプライバシ保護を実現する.さらに,昨今注目されている監視カメラ映像を防犯以外の目的にも安全に利用できるようになる.
著者
星野 光太 岩村 惠市
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-37, no.3, pp.1-8, 2017-05-18

映像サーベイランスの普及に伴い,監視カメラの映像のプライバシーを適切に秘匿する必要が生じている.そんな中,被撮影者の意思を反映させて監視カメラ映像の顔情報を秘匿する方法が提案されている.本論文の目的は,この方法を用いて監視カメラの映像を様々なサービスに利用することである.近年,監視カメラは監視だけでなく,様々な目的で使用されている.本文中では,プライバシーに配慮しながら監視カメラ映像を利用するサービスの具体例を2つ紹介し,その際に生じる脅威とその対策についても考察する.