著者
岩切 勝彦 川見 典之 佐野 弘仁 田中 由理子 竹之内 菜菜 星野 慎太朗 梅澤 まり子 坂本 長逸
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.971-978, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
26

胃食道逆流症と睡眠障害の関連性が注目されている.夜間胃酸逆流の主な発生機序は日中と同様に一過性下部食道括約筋(LES)弛緩時に発生するが,夜間胃酸逆流発生後の胃酸排出機序は日中とは異なり,二次蠕動波が重要である.しかし,非びらん性胃食道逆流症患者や逆流性食道炎患者では二次蠕動波の出現率は健常者に比べ低下しており,夜間胃酸逆流が発生すると胃酸が長時間食道内に停滞すると同時に,逆流症状をおこしやすい上部食道に胃酸が達するため,逆流症状が出現し睡眠障害をおこす可能性がある.また一過性LES弛緩発生時の睡眠状態は覚醒時または浅い睡眠状態であり,睡眠障害自体が夜間逆流を誘発している可能性もある.