著者
星野 歩子
出版者
Japan Society of Neurovegetative Research
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.350-353, 2022 (Released:2022-12-21)
参考文献数
6

エクソソームとは全ての細胞が産生する30-150 nmの微小胞で,元々は細胞のゴミ処理機構として認識されていた.しかし,近年になり放出されたエクソソームが他の細胞へ取り込まれることがわかり,新たな細胞間コミュニケーションツールとして着目されている.エクソソームにはタンパク質や核酸,脂質等が含まれており,末梢血中のエクソソームから得られるそれらの情報は体内状態を反映し,多くの疾患バイオマーカーとして期待されている.今回私は,エクソソーム含有タンパク質に特に着目し,末梢血中エクソソームのタンパク質組成が診断マーカーとなる可能性,そしてがん細胞が産生するエクソソームががんの臓器特異的転移に関わる機構について紹介する.