著者
張 成年 柳本 卓 松崎浩二 小藤一弥 星野浩一
出版者
Aquos Institute
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.AA2019, pp.AA2019-5, 2019 (Released:2019-09-30)

チゴダラとエゾイソアイナメ間には顕著な形態差がなく同種の可能性が指摘されてきたものの本邦ではこれらを別種として扱ってきた。その根拠として、前者は東京湾以南の深海(150‒650m)に分布し、眼径が大きく体色が淡褐色であること、後者は函館以南の浅海(数10m以浅)に分布し、眼径が小さく体色が濃褐色であること、が挙げられている。本研究では北海道から神奈川県の範囲で44個体のチゴダラ類標本を採集し、上記の表現型とともにミトコンドリアDNAの3領域(COI、16S rDNA、Dloop)の塩基配列を分析した。体色は個体間変異が大きいものの浅場標本(80m以浅)では濃褐色個体が多く、深場標本(200m以深)では淡褐色個体が多かった。眼径/吻長も個体間変異が大きく深場標本と浅場標本の平均値間に有意差はなかった。個体間および浅深標本間の遺伝的差異は非常に小さく種内個体間レベルの範囲であることが示された。データベースより入手したチゴダラ属他種の配列を加えた系統樹解析においても、本研究で分析した個体は全て独立したクレードに属し同種と考えられた。以上のことからチゴダラとエゾイソアイナメは同種であり、体色や眼径の変異は種内個体間差であることが示された。
著者
張 成年 柳本 卓 松崎浩二 小藤一弥 星野浩一
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.AA2019-5, 2019

チゴダラとエゾイソアイナメ間には顕著な形態差がなく同種の可能性が指摘されてきたものの本邦ではこれらを別種として扱ってきた。その根拠として、前者は東京湾以南の深海(150‒650m)に分布し、眼径が大きく体色が淡褐色であること、後者は函館以南の浅海(数10m以浅)に分布し、眼径が小さく体色が濃褐色であること、が挙げられている。本研究では北海道から神奈川県の範囲で44個体のチゴダラ類標本を採集し、上記の表現型とともにミトコンドリアDNAの3領域(COI、16S rDNA、Dloop)の塩基配列を分析した。体色は個体間変異が大きいものの浅場標本(80m以浅)では濃褐色個体が多く、深場標本(200m以深)では淡褐色個体が多かった。眼径/吻長も個体間変異が大きく深場標本と浅場標本の平均値間に有意差はなかった。個体間および浅深標本間の遺伝的差異は非常に小さく種内個体間レベルの範囲であることが示された。データベースより入手したチゴダラ属他種の配列を加えた系統樹解析においても、本研究で分析した個体は全て独立したクレードに属し同種と考えられた。以上のことからチゴダラとエゾイソアイナメは同種であり、体色や眼径の変異は種内個体間差であることが示された。