著者
春日 飛鳥 清水 惠子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.63-74, 2018-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
21

研究目的は地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しを立てる体験を明らかにすることで,デイケア通所者8名に対し,半構成的面接法を用いて質的記述的に分析を行った.地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しの立て方には,〈生活の目標やイメージ〉に向かって,“志向の段階”“試行の段階”“行動の段階”があり,それらの各段階には〈生活の見通しに影響していることがら〉が存在していた.すなわち【精神障害に対する前向きさ】【家族や仲間の支え】【社会資源の活用】が生活の見通しを明るくし,【病気とつきあう困難さ】【厳しい現実の壁】【周囲の人との折り合いの悪さ】【日々の生活における自信のなさ】が見通しを遮り,【一日の充実感の有無】が明るくも暗くもしていた.生活の見通しを立てる支援として,支援者自身がリカバリー志向をもって当事者とともに目標達成の可能性を探り,〈生活の見通しに影響していることがら〉に介入した支援が求められた.