- 著者
-
清水 惠子
- 出版者
- 日本精神保健看護学会
- 雑誌
- 日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.1, pp.44-54, 2010-06-30 (Released:2017-07-01)
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
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本研究の目的は,地域で生活する統合失調症患者のメタボリックシンドローム(以下,MS)発症に関連する要因の検討であった.対象者はA精神科病院を定期的に通院する18歳以上の統合失調症圏内で,支援を受ければ自記式調査票に答えられる人であった.MS状態の評価については血液検査や身体計測を実施し,生活状況および身体活動量などは筆者作成の調査票を用いた.精神機能評価や抗精神病薬に関する患者情報は,主治医より提供を受けた.分析にはSPSS15.0を用い,単純集計,t検定,χ^2検定,多重ロジスティック回帰分析を実施した.結果は,有効数男性191人,女性144人で,平均年齢は男性43.8歳,女性44.6歳であった.MS発症率は全体では22.1%,男性27.2%,女性15.3%で,ともに一般成人より有意に高かった.MS発症に関連する要因の検討では,全体と男性では「BMI」と「喫煙の傾向」がMS発症頻度を増加させ,「洗濯をする」がMS発症頻度を減少させた.女性では「BMI」がMS発症頻度を増加させ,「リスペリドン服用」がMS発症頻度を減少させる結果であった.実践への示唆として,腹部肥満の改善,家事の実行,喫煙の改善,抗精神病薬による影響のモニタリングが挙げられた.