著者
春日井 敏之
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、学校・地域におけるピア・サポートシステムの構築に関わって、主として4つのフィールドを設定して、調査・研究を進めてきた。第一には、不登校のわが子を持っ「親の会」というセルフヘルプ・グループによる支援のあり方、第二には、学校における子どもの課題に関わる教師、スクールカウンセラーなどによる「ケース・カンファレンス(事例検討会)」を通したチーム支援のあり方、第三には、学校における子ども同士の助け合い、課題解決、対立解消のための教師による子ども支援、子ども相互の支援のあり方、第四には、地域における子ども・青年の居場所づくりに関わる青年・大学生による中高生への支援のあり方である。具体的には、(1)京都府下のU市を中心とした地域の「親の会」における相互支援のあり方、(2)京都府下のRU中学・高校、大阪府H市教育センター、滋賀県O高校をとりあげ、不登校問題に関わる小中高校の教職員などによる「チーム会議」における相互支援のあり方、(3)群馬県T市、広島県H市などの先進地域の小申学校などにおける子ども同士のピア・サポート活動を進めるための教師の役割とプログラム開発のあり方、(4)京都市T児童館、滋賀県O高校における地域の中高生のための大学生による居場所づくりのインターンシップとプログラム開発のあり方について、臨床現場を持ちながら共同研究を進めてきた。また前提として、現代の子どもたちの置かれている社会環境や発達課題をどのように捉え理解していくのかに関しても研究を進めてきた。なお、2004年度、2005年度の3月末には、アメリカ・ニューヨークとカナダ・バンクーバーにおけるピア・サポートの実践・研究の調査を目的に、日本ピア・サポート学会の現地調査団の一員として小学校、高等学校などを訪問し、現地の研究者とのワークショップにも参加し研究を進めてきた。日本とはスクールカウンセラーの制度が異なるアメリカやカナダなどの学校におけるピア・サポートのプログラムが、日本の学校現場で生かしうるのか。そのための条件などについても検討を深めてきた。2006年度は、3年間の研究期間の最後であり、詳しい内容は研究報告論集にまとめる。