著者
宋 基燦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

朝鮮学校は、日本最大の外国人学校組織であるにも関わらず、その特殊な政治的立場とそれに起因する閉鎖性のため、今まで研究者の接近がやや難しい領域だった。本研究は、朝鮮学校の教育の実態を理解し、それが日本社会に示唆する意味を長期的な面で明らかにするための人類学的研究として位置付けることができる。研究代表者は、13年前から朝鮮学校の現場研究を行っており、当時の調査に基づいた結果を朝鮮学校の民族誌として発表したことがある。本研究は、当時の研究に続く後続研究として、当時の学生たちのその後を追跡することにより、朝鮮学校の卒業生の日本社会における生活世界を理解することを目的としている。主な研究対象として、当時の生徒と教師、現在の朝鮮学校現場を設定している。13年前の調査現場への参与観察は、本務校の業務の関係で、実現することが現実的に難しかったため、2016年からは、京都の朝鮮学校を中心に現場研究を進めている。その傍ら卒業生、特に韓国で活動している朝鮮学校卒業生の事例を中心的な事例として訪問インタビューなど、研究を進めてきた。なお、朝鮮学校が持っている政治的特殊性への理解を深め、それを研究に反映するべく、朝鮮大学や総連関係者との関係構築にも努めてきた。その結果、北朝鮮を取り巻く国際政治の環境変化が朝鮮学校へ及ぼす影響に関する理解を得ることができた。この理解は、今後の研究の展開と結果をまとめるにおいて非常に重要な部分になるであろう。
著者
彬子女王
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究の一番大きな成果は、大英博物館の日本コレクションの草創期である19世紀後半から、コレクションが盤石なものと変容を遂げていく約100年間の日本関連の展覧会図録の調査を通して、大英博物館の学芸員たちの日本美術に対する理解の変遷の過程が明らかになったことである。19世紀後半のコレクターの主観が反映されたやや偏った日本美術理解が、日本から直接情報が入ってくるようになったことで徐々にその誤差が少なくなり、現代の漫画や伝統工芸の展示などを通して、大英博物館独自の日本理解を示すようになる過程を追うことができた。
著者
権 学俊
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は近現代日本におけるスポーツ・ナショナリズムの解明を目的とし3年間スポーツ・ナショナリズムを「支配・管理」「統制」「同和」「排除」「抵抗」という側面から検討した。本研究を通して、戦前スポーツイベントが天皇制と国家的な秩序への同意を強化し、国家との一体感を推し進める装置として巧妙に機能した点、戦後天皇・皇族が様々なスポーツ大会と関わりながら、「象徴天皇制」「大衆天皇制」の基盤強化を図るとともに、国民との距離を縮め新しい皇室像をアピールしていったことが明らかになった。
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
佐々 充昭
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

日本帝国主義による植民地支配が進行した20世紀初頭の朝鮮において、古朝鮮の開国始祖「檀君」を精神的求心点として民族独立を図ろうとする運動が勃興した。この民族主義運動を担ったのが、1909年1月に創教された檀君教(後に大〓教と改称)である。本研究では、日本植民地下で活動した檀君系教団の分裂・提携・統合運動について分析しながら、檀君民族主義運動の形成・発展過程について明らかにした。