- 著者
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春田 吉備彦
- 出版者
- 沖縄大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
研究目的のモチーフは、①排他的基地管理権、②間接雇用方式、③日米地位協定とMLCの関係をそれぞれ解明することである。2019年度の研究実績はつぎのものがある。(1)研究目的のモチーフのうち、とりわけ①の問題に焦点を当て、2018年12月18日に在日米軍横須賀基地内に停泊中の「空母ロナルド・レーガン」において実施された「日米合同訓練」の見聞記を執筆した。これが、春田吉備彦「Invisible baseworker(見えざる基地労働者)―ロナルド・レーガン乗船記―」『沖縄大学法経学部紀要第31号』(29頁~36頁)である。(2)日韓の国交が正常化していなかった、1956年に発生した、千代田丸事件をモチーフに「戦争災害(戦災)」「自然災害」 「労働災害(労災)」「NBC災害」 「CBRNE(シーバーン)災害」 「武力事態災害」 等の多様な災害概念を整理、労働者の労務給付拒絶権について試論を展開した。現在、基地労働者が直面している、「労務指揮権」の問題の基礎的考察としての位置づけをもつ、研究業績として、春田吉備彦「災害時の労働者の労務給付拒絶権にかかわる一試論―千代田丸事件最高裁判決(最三判小判昭和43.12.24民集22巻13号3050頁)の再読を通じて」大曽根寛/森田慎二郎/金川めぐみ/小西啓文編『福祉社会へのアプローチ 下巻』(成文堂)(353頁~366頁)がある。両業績とも、主として、日米地位協定上の①排他的基地管理権に関連する考察である。日本国内にありながら、米軍基地内の労働問題や米軍関係の労働問題は、可視化が難しいという特徴がある。両業績は、この点に着目している。