著者
春田 和男
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.216-235, 2007-12-25

日本図書館協会では,1980年の定款と役員選挙規程の改正により,個人会員と施設会員がともに役員の選挙権と被選挙権,会議の議決権を持ち,個人会員選出と施設会員選出の役員数の比率を3:2に設定している。本稿の目的は,この両者の権利の関係をめぐる議論がどう集約され,その結果が定款や役員選挙規程の改正に反映されているかを明らかにすることである。協会に関する資料やデータ,公益法人と職能団体に関する文献を基に,議論の経過を明らかにしたのち,議論の分類を行い,各主張の内容とその理由の妥当性を検討し,議論の問題点と課題を指摘した。その結果,(1)個人会員中心運営論に対して,個人会員・施設会員共存運営論が実現したこと,(2)その理由としては,施設会員にとって会費と全国図書館大会等の開催の負担が大きいこと,(3)役員数の比率と個人会員中心の職能団体の可能性については,会員による広範な議論が行われていないことが明らかになった。
著者
春田 和男
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.152-172, 2006-09-20

日本図書館協会は,その前身組織の時代をも含めると100年以上の歴史を持ち,主に個人会員と施設会員から成る,文部科学省所管の社団法人である。協会の目的は,すべての図書館関係者の連絡,提携のもとに,図書館事業の進歩発展を図ることとされている。協会では,個人会員と施設会員の関係及び各館種間の関係が長年にわたって問題になっている。本稿では,日本図書館協会に関するデータや資料,政治学における選挙に関する文献を基に,会員種別(個人,施設),部会別,都道府県別の3つの観点から,協会の会員と役員の構成について分析した。その結果,(1)協会会員登録率の平均値,会員の増加率,会費負担額で施設会員が個人会員を上回っていること,(2)公共図書館部会所属者が個人会員,施設会員ともに過半数を占めるとともに,個人会員選出役員の大部分を占めていることが明らかになった。