著者
晴山 克枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.880-884, 1985-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

じゃがいもの加熱における調味料の添加時期と硬さとの関係について, おもに食塩をとりあげて検討し以下のことが明らかになった.1) 食塩の添加時期を変えてじゃがいもを20分間加熱すると, 加熱当初に食塩を添加した場合にじゃがいもは水煮よりもやわらかくなったが, 加熱開始5分後, 10分後に添加した場合にじゃがいもは水煮とほぼ同程度の硬さを示し食塩の軟化効果はみられなかった.2) 食塩の添加時期とその浸透量の関係については, 添加時期により浸透量は変化せず, 硬さの変化との相関性は見いだせなかった.3) 食塩の添加時期によって, 加熱後のじゃがいものペクチン質の水溶性ペクチン区の割合が異なり, 加熱当初に食塩を添加したものの水溶性ペクチン区の割合は加熱開始5分後に食塩を添加したものよりも多く, このことと硬さとが関係していることが示唆された.4) 砂糖と酢酸の添加時期による硬さへの影響をみると, 砂糖は添加時期が早いほどじゃがいもを硬くし, 酢酸は加熱当初に添加するとじゃがいもを硬くするが, 添加時期が遅くなるにつれ硬化する効果はなくなった.以上のことから, 調味料の添加時期による硬さへの影響は, 調味料の種類によって異なり, じゃがいもの硬さは調味料を添加するときのペクチン質の状態と調味料の成分との関係で変化することが明らかとなった.