著者
渡部 由美 垣本 充
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.346-350, 1982-06-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

小学校5, 6年生の女子児童を対象に, Y-G性格検査によって分類された5群の性格特性について, 甘味, 酸味, 塩味, 苦味の味覚識別検査を試験紙法を用いて行った.その結果, 情緒不安定群に, 酸味, 苦味の正解率が低い傾向にあった.また, 積極安定群は苦味の識別が消極不安定群に比べて5%の危険率で有意にすぐれていた.味覚識別検査の正解者と誤答者の間で有意差のあった性格特性因子は, 苦味において, 劣等感, 社会的外向, 一般的活動性, 支配性の4因子であった.嗜好意欲尺度を用いた食品嗜好調査の結果より, 酸味正解者は酸味誤答者より果物, 甘いものを好み, 苦味正解者は苦味誤答者より肉類, 野菜類, 塩からいもの, すっぱいものを好む傾向があった.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.731-738, 2003-09-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
2

着心地の良いブラジャーの設計や新しい設計システムを構築するためには, 複雑に動く乳房の運動機構やブラジャー着用に伴う乳房振動特性の変化を明らかにしておくことが重要である.そこで, 本研究では半透明なブラジャーを用いて, 運動画像解析システムにより, ブラジャー着用時と非着用時の走行中と歩行中の乳房の動きを計測した.乳房の動きから体幹部の動きを分離し, 乳房独自の振動データを抽出した後, 離散フーリエ変換によって分析した.その結果, 乳房の振動は歩行周期の影響を直接に受け, 走行中が歩行中より, 垂直方向が水平方向より大きくなった.ブラジャー非着用時の垂直方向の振幅は歩行周波数で最大となり, 体幹部の運動の影響を強く受けることが分かった.非着用時の乳房振動は乳房の硬さ指標と相関が高く, 柔らかい乳房が硬い乳房より振幅が大となった.ブラジャーの着用によって, 乳房の振幅スペクトルに高い周波数成分が生じるようになり, 測定点間の相関も低くなった.またブラジャー着用時の乳房が硬い乳房に近くなり, 両者の特性が似たものとして表れた.以上のように乳房振動を分析し, その特性をとらえることができた.乳房の振動特性は, ブラジャーの着くずれや着心地に関係する問題を含み, 設計に欠かすことのできない要因である.ブラジャーの設計支援システムの中で, 乳房の振動特性をどのように制御するかが重要な課題である.今後は胸部の3次元形状データのモデルを利用して, 運動機能性のよいブラジャー設計の技術開発につなげたいと考えている.
著者
河村 フジ子 猪俣 美知子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.716-720, 1980-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

卵白によるスープの清澄効果について検討した結果を要約すると次のようになる。1) 野菜添加原液に卵白を加えると, 卵白量の増加に伴い, 透明度は低下する.2) 食酢0.3%を加えた野菜添加原液に, 3%の卵白を加えると高い透明度のスープが得られる.3) 8mg%のCaを加えてpHを5.5~6.0に調整した原液は, 卵白による清澄効果が顕著である.4) 原液に, 食酢と卵殻を添加したとき, 卵白による清澄効果が増進するのは, pH調整作用とCa塩添加との複合効果であろうと推定される.本研究は, 昭和53年度文部省科学研究費補助金によって行ったものである.
著者
斎藤 輝子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.515-520, 1979

In this paper, the development of "Kosode" in the middle and the end of the Heian era (10 C.-12 C.) is studied. The study is done from a viewpoint of a life of court-nobles and that of common people.<BR>For common people, in the beginning of the 12th century, "Kosode" was already used as everyday clothes. For them "Kosode" was outwears as well as underwears. "Kosode" was the production of their sense of simplicity and practicability.<BR>In a life of 'Samurai', "Kosode" was used as outwears in the Meiji era (1159-1160) and they began to use colored "Kosode" earlier than court-nobles.<BR>In a life of court-nobles, it is not clear when "Kosode" began to be used. For them "Kosode" was not outwears.
著者
西村 綏子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.432-438, 1980-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

The restrictions of clothing studied in the Bakufu laws and in Kanazawa-Han's, Kumamoto-Han's, Tottori-Han's, Okayama-Han's, Tokushima-Han's and Morioka-Han's had been promulgated for two and a half centuries from 1615 to 1866. The substance of these laws were employed to maintain the class hierarchy, what is called “Shi-No-Ko-Sho” in the Edo period and also utilized as the emblem for its establishment.In the early Edo period, the restrictions of clothing aimed to clarify the class distinction by the material of his clothing such as silk, pongee, cotton and linen. Then the restrictions were gradually extended even to the manner of weaving, dyed designs, hair-ornaments and footwear.In the meantime, restrictive laws of clothing which had characteristics of strennous retrenchment policy and frugalty one were proclaimed but they turned out to be fruitless and eventually abolished as Baku-Han system collapsed.
著者
高正 晴子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.399-406, 1997-05-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
127

A survey was made of various cookery books from the Middle Ages to modern times to identify the consumption of whale meat in Japan.During the Muromachi Period, whales were considered valuable because of their sheer size, and the meat was served to high-ranking people like the Shogun.In the middle of the Edo Period, whale meat was served to the most important and least important members of a Korean delegation. Whalecatching had developed from harpooning to netting, enabling whales to be caught in large numbers so that whale meat became available for common consumption.Until recently, whale meat had been a common local food in many areas of Japan. Its size made it considered suitable for serving at important events, and it stood as a popular food source.The results of this survey clearly show that whale meat has been an important part of the Japanese diet over a long period of time.
著者
小野瀬 裕子 草野 篤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.123-133, 2001-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
22

本研究ではアメリカ合衆国が主導権を握っていたGHQの憲法草案作成の背景を整理した.日本と同じ第二次世界大戦で敗戦国となったドイツとイタリアの新憲法では, ベアテ草案の「男女平等」と「教育の機会の平等」はどの様に条文化されているか比較して考察を加えることで, ベアテ草案の特徴を明確にした.その結果を以下にまとめる.(1) GHQ草案の作成に至る経緯GHQ最高司令官のマッカーサー元帥 (アメリカ合衆国) は, 憲法改正について当初は日本側が自主的に検討すべき問題であると捉えていたが, 日本政府の草案が保守的で, 大日本帝国憲法の表面的変更にとどまるものであることを知り, また, 極東委員会が対日管理を1946年2月26日からFECに移行することを決定したことから, GHQはこれに先立って憲法を改正するためにモデル憲法を準備し提供することが効果的だと考えた.(2) 第二次世界大戦敗戦国の新憲法との対比戦後のドイツとイタリアの新憲法には, ベアテが起草しGHQによって削除された「母性保護」「非嫡出子差別禁止」「労働における男女平等」と同様の条文を見いだすことができた.ベアテ草案にあり, 3力国の憲法にはない内容として「家庭における男女平等」のなかに「個人の尊厳」という言葉がはいっていたことをあげることができた.ベアテが戦前の日本の家制度を否定し, その意味を明確にするために入れた注目すべき言葉であったといえる.(3) アメリカ合衆国憲法における家族の扱いと男女平等の実現のための憲法修正に対する動向日本はGHQ占領下において, 最高司令官マッカーサーによりアメリカ合衆国を介して間接統治されていた.アメリカ合衆国憲法では, 「家族」に関しては, プライヴァシーの範疇であると考え, 憲法に条文として規定することはなかったこと, 詳細な社会権の規定は憲法の下位規範である法律に委ねられていたこと, アメリカ本土で当時, 女性組織が女性保護法と対立するものと考えて男女平等のための憲法修正に反対していた事実がある.一方, ベアテ草案第6条「性別における差別の禁止」, ベアテ草案第18条「家庭における男女平等」は日本国憲法に残った条文であるが, アメリカ合衆国憲法にはなく, 本土よりも1歩進んだ条文であったということができる.(4) ベアテ草案削除に関してベアテ草案の「家族における男女平等」は残ったものの, その他の「家族」に関する条文や「労働における男女平等」などの条文の多くがGHQによって削除された理由として, 日本の歴史的背景が大きく関係していると考えられる.また, GHQの主導権を握っていたアメリカ合衆国憲法での状況として, 「男女平等」や「家族」に関するベアテ起草と同じ内容の社会権が, 憲法に条文として導入されることはなかった事実があることがわかった.
著者
平尾 和子 西岡 育 高橋 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.363-371, 1989

タピオカパールは, 調理に際して煮くずれしやすく, 芯が残りやすいなどの問題点があり, その加熱方法はむずかしい.透明感や歯ごたえがあり, 煮くずれが少なく, 芯のないタピオカパールを得るためのより簡便な加熱方法を知る目的で本実験を行った.<BR>加熱方法は, 湯煎による加熱の湯煎法と魔法瓶を用いるポット法について比較し, 顕微鏡観察, 物性測定および官能評価の結果から浸水効果や加熱方法を検討した.結果は次のとおりである.<BR>1) タピオカパールは, 加熱に際しての浸水効果は認められず, 浸水することなく, 直接ふりこんで加熱するほうが煮くずれしにくい結果となった.<BR>2) 加熱方法では, ポット法が湯煎法に比べて煮くずれせず, 弾力があり, 芯のない煮上がりとなるなど, 物性値においても, 官能評価においても最も好まれた. 魔法瓶を用いるポット法は, 加熱途中の攪拌や湯を補うなどの手間もかからず, しかも形状やテクスチャーのよいタピオカパールを得ることができるなど, 簡便かつ効果的な加熱方法と考えられる.<BR>3) 湯煎法のうち, 水にふり込んで加熱する水湯煎法は, 熱湯にふり込む熱湯湯煎法に比べて加熱時間が短縮され, とくに2時間加熱することにより, 透明で歯ごたえのある試料が得られた.
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.197, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
早川 文代 馬場 康維
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.447-456, 2002

"まったり" について, 京都・滋賀地方でのアンケート調査および京都市内での専門家による聞き取り調査を行い, 前報の首都圏のデータと比較し, 以下の結果を得た.<BR>(1) "まったり" は, 京都高年層には方言として用いられているが, 京都若年層には, 首都圏若年層の流行語と同様に用いられている.<BR>(2) 方言としての "まったり" は, 食物名による尺度化の精度が悪く, 食物名で "まったり" を説明することは困難であるが, "まったり" している可能性が高い食物は, 栗きんとん, 白味噌などである.<BR>(3) 方言としての "まったり" は, 良いイメージをもつ誉め言葉であり, 感覚用語というよりも, 感性を表現する用語である.まろやかで, 口にゆっくり広がる, 穏やかで, 深みがあり, ほのかに甘い感覚である.<BR>(4) 若年層に用いられている流行語としての "まったり" は, 食物名による尺度化が可能で, カスタードクリームやバタークリームなどの, まろやかで, 口にゆっくりと広がる, ねっとり, こってりした感覚である.
著者
Fumiko NAITO Setsuko TAKAHASHI Yukinori SATO Shun NOGUCHI Hiroshi NAITO Tadayoshi TANAKA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.153-159, 1996-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
被引用文献数
2

真空調理法によるイカ肉の物性および食味特性を通常調理法と比較し, 真空調理については加熱温度や加熱時間の影響を物性, クッキングロスおよびスペースロス, 肉中のプロトン緩和曲線から検討し, 官能評価との関連性をみた.結果は次の通りである.(1) 真空調理時の加熱温度は40, 50, 60, 70および80℃について検討したところ, 温度の上昇に伴うイカ肉の硬さは40, 50, 60℃と上昇するに従い軟らかくなり, 60℃で最も軟らかい値を示した.さらに60℃を越すと加熱温度の上昇とともに硬くなることが認められた.クッキングロスは温度の上昇に伴い大となった.(2) イカ肉の真空調理の加熱時間の影響を20分間から50分間加熱について比較したところ, その差は認められなかった.(3) イカ肉中の水の動きの変化は60℃付近から起こり, 水分含量の減少や緩和時間丁2値の上昇は70℃加熱の肉に認められた.(4) 官能評価においては外観や食感に関する食味特性および嗜好について検討したが, 60℃および80℃加熱はともに好まれない傾向を示し, 70℃-30分間加熱により嗜好性の向上が認められた.(5) 以上の結果から, イカ肉の真空調理に適した加熱温度は約70℃であり, 加熱時間は20~30分間が適当と考えられた.(6) 真空調理法によりイカ飯を調製したところ, 煮込み調理に比べて官能評価の食感の項目でより好まれる傾向を示した.また調理操作の面では加熱中の攪拌が不必要であり, 少量の煮汁で加熱が可能であるなどの利点が認められた.
著者
大塚 斌 菊田 文夫 近藤 四郎 高橋 周一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.311-318, 1992-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
19

(1) 足の形状とその革靴のサイズとの関連を検討するために, 日本人成人の男性149名, 女性178名の左右両足について, 足長および足囲ボールを計測した.この計測値をもとに, 靴の適正サイズをJIS規格によって判定した.同時に足の靴に対する「適合感」の好みを, 「ぴったり」・「ふつう」・「ゆるめ」の三つに分類して, その分類ごとに靴の適正サイズと自称サイズの一致度を検討した.(2) 革靴の自称サイズのうち最も多いのは, 足長サイズでは男性が25.0 (cm), 女性が23.0 (cm) であって, 足囲ボール表示サイズをあわせてみた場合には, 男性では25EEE (ボール部周径が255mm), 女性では23EE (ボール部周径が234mm) であった.(3) 足長の適正サイズと自称サイズの一致度は, 男性では約41%, 女性では約32%であった.被験者のうち, 男性は38%の者が, 女性は59%の者が自分の足長サイズは知っているが, 足囲ボール表示サイズについては知らなかった.この結果は, とくに市場に多く出回っている婦人靴に, 足囲ボールサイズの表示がない場合が多いが, DやEに相当するものが多いという事情によるものと考えられた.(4) 足長の自称サイズと適正サイズとの差異をみると, 「ぴったり」, 「ふつう」, 「ゆるめ」と移るにつれて, 男性では自称サイズが適正サイズよりも大きい者の割合が増加するが, 女性ではこの傾向は認められなかった. (5) 足の靴に対する「適合感」の好みを, 「ぴったり」・「ふつう」・「ゆるめ」の三段階に分けてみると, 男女ともに「ぴったり」・「ふつう」・「ゆるめ」と移るにつれて, 自称の足囲ボール表示サイズはしだいに大きくなる傾向がみられた.(6) 女性の自称サイズは, 足長・足囲ボールの計測値から判定される適正サイズよりも大きい傾向が認められた.
著者
貝田 さおり 玉川 雅章 渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.147-154, 1999-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5
被引用文献数
2

牛肉の最適加熱時間を決定するために, 厚さ 20 mmの牛肉を 120~220℃ の範囲で熱板焼きする場合の熱板温度の違いによる影響を, 肉の中心温度を 55, 70, 85℃ の 3 段階に変えて検討するとともに, 各加熱温度における時間の算出方法について検討した.その結果は次のようにまとめられる.(1) 熱板温度の違いが影響するのは表面の焼き色であり, 硬さや厚さは肉の中心部を何度まで加熱するかによって決まることが明らかになった.(2) 生の肉の熱物性値から, 非定常の熱伝導の解だけを利用する方法で加熱時間の推定を行うことができた.(3) 厚さ 20mm の牛肉を熱板で焼く際の最適な加熱条件として, 程よく焼き色がつく熱板温度と加熱時間を提示することができた.
著者
Kaoru TACHIYASHIKI Michiko OOMATA Yoshiko TERAMOTO
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.359-362, 1983-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

1) 煮切り等の加熱操作により, 酒のアルコール度は減少した.アルコール度の高い酒ほど減少率は大きく, 残存量は少なかった.2) 2倍に希釈した酒を加熱した結果, いずれの酒も加熱時間に伴ってアルコール度が減少し, 加熱2分で元の約112に減り, 10分で1度以下となった.この経時変化に, 加熱時の蓋の有無と酒の濃度は影響しなかった.3) 清酒の燗は, 燗の程度によりアルコール度の変化に差があった.ぬる燗 (45℃) ではアルコール度に変化がなく, あつ燗 (60℃) で0.6%, 過度の燗 (70℃) で1.2%減少した.4) 酒を使用する料理10種の結果では, 多くのものが加熱によりアルコール含量の約90%が減少した.加熱後の料理のアルコール含有率は, ほとんどが1%以下だった.
著者
Toshiko KIRIBUCHI Kikue KUBOTA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.418-422, 1976-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

1) 甘藷の加熱調理 (焙焼, 電子レンジ) の際の糊化度, β-アミラーゼ活性および生成糖量の関係をしらべた.2) 焼きいもの場合, 電子レンジ加熱に比べ糖は約 2倍生成された.3) 加熱によりβ-アミラーゼは時間とともに失活していくが, 焙焼の場合徐々に失活し90分で数%の活性が残っていた. 電子レンジ加熱の場合は急速に失活し90秒では完全に失活した.4) 焙焼の場合60分 (いも中心部の温度78℃) でほとんど完全に糊化していてこの時糖の生成量は著しく増加した.5) 電子レンジの場合調理時間が非常に短いため糊化が十分に行われたころにはβ-アミラーゼがほとんど失活してしまっていて糖の生成量は少なかった.6) 加熱により糊化されたデンプンにβ-アミラーゼが作用してマルトースが生成された.
著者
和田 淑子 安藤 伊代子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.273-279, 1973-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

こんにゃくの調理中におこるかたさ, 弾力など物理的性状の変化について検討した.1) こんにゃくのかたさは製造時の原料配合割合によるが, 精粉に対し水量40倍, Ca (OH) 2量3%のものが概して良好なこんにゃくである.2) 生こんにゃくはゆでるとかたくなり, 同時にこんにゃく独得の弾力に富んでくる.ひとたび加熱凝固して弾力を生じたこんにゃくは, その後ゆで時間とともにかたさが増加し, 一方弾力はやや低下していくが, ある時間以上加熱すると多少の変動はあっても両者ともおおよそ一定値に近づき変化しなくなる.3) ゆでるとこんにゃくの重量は減少するが, この減少はかたさが急激に増加するとき特に大きい.4) ゆでるとこんにゃく中の余分のCaは除去されるが, Caの流出量とかたさには関連性はない.5) こんにゃくのかたさ, 弾力は調味液中で長時間煮熟すると影響を受ける.ことに食塩, 食酢においてその変化が大きく, 食塩液中ではかたくなり, 食酢液中ではやわらかくなる.6) 油いため, 空いりのように比較的短時間に高温で加熱すると, こんにゃくの表面の硬化は著しいが, 内部の弾力はあまり失われない.