- 著者
-
徐 継舜
曹 瑞林
- 出版者
- 立命館大学
- 雑誌
- 社会システム研究 (ISSN:13451901)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.81-87, 2002-03-31
70年代末に改革開放政策を開始してからの20年間,遼寧省における個人(個体)および私営経済は急速な発展を遂げ,きわめて大きな成果をあげた.個人・私営経済は地域経済の発展,税収の増加,雇用の確保,市場の活発化,安定化などの面で,重要な役割を果たしつつある.しかし,遼寧省の個人・私営経済の発展は全体的にはまだ初期的段階にあり,多くの困難と課題に直面している.その主なものは,資金源の不足,技術水準と経営管理方式の立ち遅れ,市場競争秩序の混乱による困難,企業の合法的な権利や利益がしばしば侵害されること,および政府と社会の支持が強力でないことである.遼寧省の非公有制経済を一層発展させるために,政府は個人・私営企業の創業や成長を支援する一連の政策及び法律・法規を速やかに立案,制定し,その実施に力を入れる必要がある.政府は4つの政策的支援に重点をおくべきである.第1に,憲法の規定に従い,個人・私営企業の合法的な権益を保護し,内国民待遇を与えるべきである.第2に,社会的サービスの提供システムの構築である.具体的には,融資保証制度の整備,技術革新の支援措置の拡充,情報サービスの提供網の整備,人材育成システムの整備などである.第3に,構造調整と制度改革を加速し,とくにハイテク産業型企業,大中型企業を含むグループ企業,農産品の加工型企業,環境保全型と資源総合利用型企業,第三次産業グループ型(群体型)企業を重点的に支援することである.加えて,政府は個人・私営企業が国有経済構造の戦略的調整と国有資産の新たな結合に関する改革への参加を奨励すべきである.第4に,政府は都市,農村の双方の住民による創業を支援する.これによって,中小企業が大いに発展することは雇用を増加させ,今後,一時帰休と過剰労働力の移転問題を解決する重要な国策の一つとなる.上述の政策目標を実現するうえで,政府自身の改革が不可欠である.それは政府と企業の明確な分離,行政機構の簡素化と統一化,効率の原則に基づく「四つの転換(本稿,参照)」を速やかに実行すべきである.これは国民経済の持続的で健全な発展を実現する根本的な保証である.