著者
篠原 和毅 曽 耀崑 大村 浩久
出版者
九州大學農學部
雑誌
九州大学農学部学芸雑誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-30, 1974-09

TRとアミノ酸との反応における褐変におよぼすCu^2+の影響について検討した結果,Cu^2+共存下においては,特にGly,Asp,Try,Arg,Pheとの1:2反応で,Cu^2+無添加の場合よりも著しい褐変が観察された.他のアミノ酸との反応系ではCu^2+を加えない時とほぼ同程度か,あるいはそれ以下であつた.他方,Cu^2+共存下でも褐変は1:1反応よりも1:2反応において顕著であつた.続いて,Cu^2+存在下でのTRとアミノ酸との反応における吸収スペクトル,およびその吸光度の変動を求めた.その結果,反応時間とともにTRに特徴的な吸収の減少がみられた,その低下の度合は各反応系ともほぼ同程度であつた.さらに,特に1:2反応において縮合物の生成を示す225nm,および310nm付近を中心とした吸光度の増加が認められた.また各反応液についてペーパークロマトグラフィーを行なつた結果,すべての反応系に縮合物と思われるスポットが検出された.