著者
鈴木 豊 杉山 学 斎藤 真哉 會田 一雄 隅田 一豊 筆谷 勇
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

国・地方自治体及び国・公営機関に対するアカウンタビリティの履行要求がわが国においても急速に高まっている。その理由は、税金の使途に対する国民、納税者の不満である。国・地方自治体は、租税収入及び公金収入そしてこれらの支出及び使途について法規準拠性のみならず近年では行政成果又は政策評価についてそのアカウンタビリティの履行を積極的に諸外国では開示し、監査を受けている。開示の基準が公会計基準であり、監査の基準が公監査基準である。公監査の内政府、自治体に対するものが政府監査基準である。本研究は、政府監査の構造とあるべき政府監査基準についてわが国及び諸外国の制度を研究し、わが国で今後設定されるべき基準を構築すべく検討したものである。第一年度は、各委員が分担して諸外国の制度と基準を研究した。第二年度は、これらをもとに総合的に論点をまとめわが国には存在しない、一般に認められた政府監査基準を構築するための研究を行った。これらにより下記の知見が得られこれを第一部「政府監査基準の構造と体系」にまとめ、第二部「政府・自治体外部監査の諸制度と基準」にまとめ最終報告とし、平成17年5月に書物として公刊した。第一部では、政府監査の基礎構造として特に、パブリックアカウンタビリティ、政府監査目的の類型化、政府監査人の独立性、政府監査公準、情報の保障、法律的、会計的、社会科学的、経営的アプローチを明らかにした。ついでこれら基礎概念をもとに政府監査の(1)一般基準、(2)財務監査基準、ここではリスクアプローチ、内部統制、(3)準拠性監査基準、ここでは、合規性、合法性の監査基準、(4)業績監査基準では、3E監査、VFM監査、業績(行政監査)について検討し、最後にあるべき政府監査基準の体系を提示した。第二部は、諸外国の制度と基準について、その特徴とわが国への導入の論点を包括的に研究したものである。