著者
塩入 隆行 秋重 成孝 石川 一郎 宮川 英祐 福井 美代子 有澤 康 高島 己千雄
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.955-966, 1983-12-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

今回の試験は, 歯周疾患患者24例を対象として, クロルヘキシジングルコネート含有 Tooth Paste の有効性を Active Control を対照として二重盲検クロスオーバー法より評価した。薬剤使用開始直前および2週後の薬剤を交換する時点で, スケーリングを実換し, 歯垢抑制, 歯肉の炎症の改善度を評価し, また薬剤使用開始と薬剤交換時には, 細菌検査用ブラケットを上顎前歯部に装着した。その結果1. 歯垢抑制効果については, 上顎では両薬剤間に差はなかったが, 下顎では2週後で有意な差を認め, LS-5 群がOTCAC群に比べ抑制効果が著しく認められた。2. 歯肉炎症の消退に対する効果および歯周ポケット3mm以下正常数率では, 上顎については両薬剤間に差は認められなかったが, 下顎では2週後, 歯肉の炎症の緩和の効果および歯周ポケットの正常数率で, LS-5群がOTCAC群に比べ有意に高かった。3. T. A. C. フィルム片に沈着した2週後の細菌数については, 嫌気性菌の増殖批制効果に関しては, 両薬剤間に差を認めなかった。好気性菌の増殖抑制効果に関してはLS-5群がOTCAC群に比べ高いと考えられた。4. 走査電顕像を撮影し, 評価した結果では, 両薬剤間に差は認められなかった。5. 有用性評価の有用率はLS-5群75.0%, OTCAC群50.0%で両薬剤の比較は, p=0.041で有意な差を認めた。6. 副作用は全例に認められなかった。