著者
有田 直史 末永 勇作 岩森 正男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.759-765, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤にスペーサーとして,分子量の異なるオリゴエチレングリコール(PEG-100, PEG-200, PEG-400)鎖とジニトロフェニル(DNP)基をエステル結合にて導入した 6 種類の RAFT-D~I を合成した.スチレン(St)の分散重合にこれらの RAFT 剤を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を DNP-PEG で修飾した粒子径 2.1~2.3 µm の単分散型高分子微粒子を合成した.抗 DNP 抗体との免疫反応を試みた結果,牛血清アルブミンリン酸緩衝食塩水溶液中で 2,4-DNP 含有 PS(2,4-DNP-PS)微粒子と反応し,微粒子の免疫凝集反応を確認した.3,5-DNP 含有 PS(3,5-DNP-PS)微粒子や PS 微粒子では,同じ条件下で免疫凝集反応を示さず,均一分散を保持していたことから,抗 DNP 抗体は 2,4-DNP に対して特異的に反応することが明らかになった.
著者
末永 勇作 有田 直史
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.530-536, 2010 (Released:2010-09-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤に赤色色素(N-ethyl-N-(2-hydroxyethyl)-4-(4-nitrophenylazo)aniline)をエステル結合にて導入した RAFT-R を合成した.スチレンの分散重合に RAFT-R を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を色素で被覆した粒子径 1.6 μm の単分散型高分子微粒子を合成した.色素含有量を 470 nm における吸光度から定量した結果,5.5 wt%含まれていることがわかった.色素で被覆された微粒子は,水には分散できず,エタノールにはよく分散した.ポリオキシエチレン(PEG)鎖をもつ RAFT(RAFT-C)から,合成した PS 粒子の PEG 含有量(6.5 wt%)と比較すると,分子量を考慮し,約 7 倍,色素のほうが,PS 粒子に多く,導入できることがわかった.これは,RAFT 剤から脱離生成したラジカル種の分子量とエタノール媒体への親和性が影響したものと考えられる.