著者
浦山 真衣奈 岡村 慎太郎 西峯 准 末永 勇作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.184-189, 2015-04-25 (Released:2015-04-24)
参考文献数
19

スチレン(St),グリシジルメタクリル酸エステル(GMA),ジビニルベンゼン(DVB)を原料に無乳化剤乳化重合法にて,単分散型高分子微粒子を調製した.この高分子微粒子表面にRAFT剤を化学的に固定化するためにまず,リンカー分子としてエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル(EGAE)を導入後,ジチオエステル系RAFT 残基がリンカー末端にアミド結合したRAFT-1粒子を調製した.RAFT剤の導入量(Loading Capacity (LC))は,硫黄原子Sの元素分析値から200 µmol/gと見積もった.RAFT-1粒子存在下アクリル酸モノマーをもちいて,RAFT重合を行い,ポリアクリル酸が表面グラフト重合した粒子径333 nmの単分散型高分子微粒子(SG-PAA-1)の合成に成功した.同様にトリチオ炭酸エステル系RAFT剤を表面固定化したRAFT-2粒子では,RAFT剤の導入量は40 µmol/gと低く,アクリル酸を重合した後の粒子径は448 nmとなった(SG-PAA-2).SG-PAA-1粒子の水分散溶液は,pH 2以下の酸性領域では,微粒子が凝集沈降したが,中性に戻すと再び均一分散した.
著者
西峯 准 末永 勇作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.272-278, 2014-06-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
11

Styrene (St),Glycidyl methacrylate (GMA),Divinylbenzene (DVB)を原料に無乳化剤乳化重合法にて,粒子径250 nmの単分散型高分子微粒子Particle Aを調製した.続いてParticle Aのエポキシ基と両末端アミノ基をもつEthylene glycol bis(3-aminopropyl) ether (EGAE)や片末端アミノ基をもつN,N-diethyl ethylene diamine (DEEN)と反応させることにより粒子表面近傍にアミノ基をもつリンカー粒子Particle Bとジエチルアミノ基をもつParticle Cをそれぞれ,調製した.Particle Dは,光ラジカル開始点となるジエチルアミノ基を有するParticle C存在下,4-aminostyreneを表面重合し調製した.一方,末端がアルデヒド基のポリチオフェンを文献に従って合成した.このポリチオフェンとリンカー粒子Particle BやParticle DをTHF中室温で24時間反応させることで,暗赤色微粒子を得た.エタノールに再分散させ,ヨウ素ドーピングを行った結果,黒紫色に変色し,電気伝導率は1.07×10-7 S/cmの値を得た.
著者
有田 直史 末永 勇作 岩森 正男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.759-765, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤にスペーサーとして,分子量の異なるオリゴエチレングリコール(PEG-100, PEG-200, PEG-400)鎖とジニトロフェニル(DNP)基をエステル結合にて導入した 6 種類の RAFT-D~I を合成した.スチレン(St)の分散重合にこれらの RAFT 剤を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を DNP-PEG で修飾した粒子径 2.1~2.3 µm の単分散型高分子微粒子を合成した.抗 DNP 抗体との免疫反応を試みた結果,牛血清アルブミンリン酸緩衝食塩水溶液中で 2,4-DNP 含有 PS(2,4-DNP-PS)微粒子と反応し,微粒子の免疫凝集反応を確認した.3,5-DNP 含有 PS(3,5-DNP-PS)微粒子や PS 微粒子では,同じ条件下で免疫凝集反応を示さず,均一分散を保持していたことから,抗 DNP 抗体は 2,4-DNP に対して特異的に反応することが明らかになった.
著者
末永 勇作 有田 直史
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.530-536, 2010 (Released:2010-09-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤に赤色色素(N-ethyl-N-(2-hydroxyethyl)-4-(4-nitrophenylazo)aniline)をエステル結合にて導入した RAFT-R を合成した.スチレンの分散重合に RAFT-R を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を色素で被覆した粒子径 1.6 μm の単分散型高分子微粒子を合成した.色素含有量を 470 nm における吸光度から定量した結果,5.5 wt%含まれていることがわかった.色素で被覆された微粒子は,水には分散できず,エタノールにはよく分散した.ポリオキシエチレン(PEG)鎖をもつ RAFT(RAFT-C)から,合成した PS 粒子の PEG 含有量(6.5 wt%)と比較すると,分子量を考慮し,約 7 倍,色素のほうが,PS 粒子に多く,導入できることがわかった.これは,RAFT 剤から脱離生成したラジカル種の分子量とエタノール媒体への親和性が影響したものと考えられる.