著者
小宮 康裕 中尾 裕之 黒田 嘉紀 有薗 克晋 中原 愛 加藤 貴彦
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.204-209, 2005-09-20
被引用文献数
1

禁煙や節酒支援への応用の可能性を検討する目的で, GSTM1およびALDH2遺伝子多型の遺伝子診断に対する意識調査を行った.対象は製造業の従業員1,654名(男性1,225名, 女性429名)で1,434名(86.7%)が回答した.GSTM1およびALDH2の遺伝子診断結果を知りたいと回答したのは, それぞれ52.2%と56.6%だった.一方, 知りたくないと回答したのは, それぞれ9.9%と7.2%だった.結果を知りたい理由は, 自分への喫煙の影響を知りたい, 将来の病気予防, 副流煙の影響を知りたい, 自分のアルコール許容範囲を知りたい, など個人の感受性を意識した理由が多かった.また, 知りたくない理由では, 結果を知っても止められない, 止める意志がないが多かった.多変量解析では, 現在喫煙している人(男性: OR=1.66 95%CI 1.29-2.14, 女性: OR=2.33 95%CI 1.37-3.98), 喫煙と肺がんの関連を知っている人(男性: OR=1.81 95%CI 1.25-2.63, 女性: OR=2.77 95%CI 1.42-5.40), CAGE TESTの点数の高い人(男性: OR=1.96 95%CI 1.42-2.68, 女性: OR=2.52 95%CI 1.07-5.94)で双方の遺伝子診断結果を知りたいと回答した人が有意に多かった.今回の調査より, GSTM1およびALDH2の遺伝子診断の禁煙支援や節酒支援への応用の可能性が示唆された.