著者
阿部 裕美子 青柳 順 安倍 徳寿 荒川 香 有馬 秀英 石田 千晶 渋谷 まさと
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.354-359, 2004-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12

息こらえの学習効果の持続時間を8名の健康成人で測定した.連続して5回息こらえを施行した.毎回の息こらえ前, 5分以上安静状態を保ち, 一定の終末呼気CO2濃度から息こらえを施行した.また, 数日後, 1ヵ月後に同じプロトコールをくり返した.初日, 息こらえ時間は初回, 33.0±10.7秒, 5回目, 51.5±14.4秒であった.数日後, この学習効果は持続し, 初回の息こらえ時間39.1±14.4秒は初日の初回より有意に延長していた.2回目以降の息こらえ時間は初日と同等であった.1ヵ月後, どの回の息こらえ時間も初日と同等であった.息こらえに影響をおよぼしそうな因子 (健康状態, 食事量, 飲酒量, 睡眠時間, 喫煙, 服薬, 運動) はほぼ一定であった.息こらえ自体, および/または, その後の換気亢進が呼吸筋に作用して, その後の息こらえを延長させ, その作用は数日は持続するが1ヵ月は持続しないとの仮説が, 文献的検討からも, 可能と思われた.