著者
有馬 美和子 都宮 美華 石川 文隆 西村 ゆう 神田 浩明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1410-1418, 2019-09-25

要旨●食道乳頭腫に形態が類似した食道表在癌の特徴と鑑別点を検討した.2012年4月〜2019年3月に拡大内視鏡を用いた検査で発見した食道乳頭腫は51例55病変あり,その形態はイソギンチャク型が39病変(71%),桑実型が16病変(29%)で,長径5mm以下が大半を占めた.同期間中に食道乳頭腫と形態的に鑑別を要した食道表在癌は3病変であった.いずれも桑実型に類似していた.鑑別点は微細顆粒の形態や大きさが不揃いで,血管形態も不均一であることが挙げられたが,乳頭腫と非常に類似して鑑別が難しい部分も存在した.乳頭腫の血管は周囲を過形成性の扁平上皮で覆われているためヨード染色すると白点模様を有する正染を示すが,食道癌は不染になることが大きな相違点と考えられた.溝状の陥凹や不均一な表面構造は深部浸潤を示唆する所見と考えられた.
著者
神津 照雄 村島 正泰 村岡 実 宮崎 信一 坂口 文秋 菱川 悦男 有馬 美和子 田中 元 石島 秀紀 佐久間 洋一 小野田 昌一 平島 毅 磯野 可一
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.2447-2451, 1990

われわれの開発した, 内視鏡ガイド下に食道筋電図, 内圧, pHを同時に測定する方法で, 63例を対象に食道胃接合部病変とくに逆流性食道炎の病態について検討した.その結果, 食道粘膜に酸性化を関知する受容体が存在すると仮定すると, 正常例, 食道炎 (-) 例, および食道炎 (+) でも, その程度の軽いI型ぐらいまでの症例においては, 逆流した酸に対する排出機能が残存していると筋電図の解析からはいえる.しかしそれ以上の進行した食道炎の形態を示す症例ではその機能は消失していると推定される.この一度消失した, 逆流した酸に対する食道の排出機能がどの程度, 可逆性なのかは今後の検討課題である.<BR>この点が解明されると逆流性食道炎に対する外科手術の適応が明確になると考えられる.