著者
村山 幸子 小林 江里香 倉岡 正高 野中 久美子 安永 正史 田中 元基 根本 裕太 松永 博子 村山 陽 村山 洋史 藤原 佳典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.151-160, 2022-02-02 (Released:2022-02-02)
参考文献数
23
被引用文献数
3

世代継承性は元来中年期の心理社会的課題とされてきたが,近年は高齢期の課題としても注目されている。本研究は,高齢期の世代継承性を多元的かつ簡便に測定できる改訂版世代継承性尺度(以下,JGS-R)を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。日本語版Generativity尺度(大場他,2013)をもとにJGS-Rの項目を作成し,都市部在住高齢者1,393名に質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果,「世代継承的行動」,「世代継承的関心」,「世代継承的達成感」という3因子が抽出され,確認的因子分析により因子妥当性が確認された。この3因子をもとに作成した下位尺度は,いずれも高い内的整合性が認められた。さらに,JGS-Rの各下位尺度得点は他世代との会話頻度,他世代への手段的・情緒的サポートの提供頻度,および地域における子育て支援行動と正の相関関係にあり,このことから尺度の基準関連妥当性が認められた。
著者
星野 高志 小口 和代 伊藤 正典 小笠原 沙映 田中 元規 松田 華加
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.22005, (Released:2022-08-17)
参考文献数
38

目的:回復期リハビリテーション病棟入院中の片麻痺患者における病棟内杖歩行自立の客観的判定基準を,決定木分析を用いて明らかにする.方法:対象は3年間の脳卒中片麻痺患者のうち,退院時の杖歩行が監視以上の者とし,病棟内杖歩行自立群と非自立群に分けた.評価項目はSIAS下肢運動合計(SIAS-LE),Trunk Control Test(TCT),Berg Balance Scale(BBS),10 m歩行速度(m/s),入院時FIM認知合計(FIM-C)とし,自立群は歩行自立時,非自立群は退院時の評価を用いた.さらに歩行自立後の転倒状況も調査した.統計分析は単変量解析および決定木分析を行った.結果:自立群101名(平均68±13歳),非自立群47名(平均79±12歳)で,歩行速度,TCT,BBS,FIM-Cに有意差を認めた.決定木分析では歩行速度,FIM-C,BBSの順に選択され,①歩行 ≧ 0.42 m/s,FIM-C ≧ 22点(自立者割合97%/転倒者割合5%),②歩行 ≧ 0.42 m/s,FIM-C<22点,BBS ≧ 50点(100%/0%),③歩行 ≧ 0.42 m/s,FIM-C<22点,BBS<50点(52%/8%),④歩行<0.42 m/s,BBS ≧ 28点(49%/28%),⑤歩行<0.42 m/s,BBS<28点(0%/0%)に分けられた.転倒者割合は全体で8.9%,うち④が最も高かった.結論:歩行自立には歩行速度,FIM-C,BBSの順に関与し,各基準値が明らかになった.歩行速度の低い者は易転倒傾向であり,特に慎重な自立判断が求められる.
著者
玉井 真悟 仲本 準 田中 元雅
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.236-240, 2020 (Released:2020-07-29)
参考文献数
15

Propagation of amyloid is achieved by the combination of amyloid formation and disaggregation. Although both processes in the cell are regulated by molecular chaperones such as Hsp104 and Hsp70, the underlying molecular mechanism has remained elusive. Here we review a recent progress of metabolic regulation of amyloid fibrils, and discuss about the effects of dynamic conformational fluctuation of monomeric proteins on structural polymorphism of amyloid. The detailed analysis of the processes of amyloid formation and disaggregation by biophysical methods will provide important mechanistic insights into the cellular process responsible for amyloid propagation.
著者
根本 裕太 倉岡 正高 野中 久美子 田中 元基 村山 幸子 松永 博子 安永 正史 小林 江里香 村山 洋史 渡辺 修一郎 稲葉 陽二 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.719-729, 2018-12-15 (Released:2018-12-27)
参考文献数
35

目的 本研究では,若年層(25-49歳)と高年層(65-84歳)における世代内/世代間交流ならびにそれらの組み合わせと精神的健康との関連について検討することを目的とした。方法 2016年に地域住民を対象とした質問紙調査を実施した。有効回答を得た若年層3,334人(回収率24.6%)および高年層3,116人(回収率46.0%)を本研究の解析対象者とした。精神的健康については,WHO-5を用いて,合計点数が13点未満もしくはいずれかの設問に対し1点以下の回答をした者を「不良な健康状態」と判定した。世代内/世代間交流については,親族や仕事関係の人を除いた者との交流頻度を調査した。若年層においては「20-40代」,高年層においては「70代以上」との交流を「世代内交流」,若年層における「70代以上」,高年層における「20-40代」との交流を「世代間交流」とした。また,これらの組み合わせとして両世代との交流がある者は「両世代交流あり」,両世代とも交流がない者を「交流なし」とした。統計解析においては,精神的健康を目的変数,世代内/世代間交流を説明変数,性別,年齢,最終学歴,婚姻状態,同居者,主観的経済状況,地域活動への参加,就労,健康度自己評価,手段的日常生活動作能力を調整変数としたロジスティック回帰分析を行った。結果 若年層3,334人のうち,精神的健康が良好な者が61.5%,「世代内交流あり」は51.3%,「世代間交流あり」は21.9%,「両世代交流あり」が16.5%,「交流なし」が42.7%であった。一方,高年層3,116人のうち,精神的健康が良好な者は65.8%,「世代内交流あり」は67.9%,「世代間交流あり」は34.3%,「両世代交流あり」は29.9%,「交流なし」は21.1%であった。ロジスティック回帰分析の結果,いずれの世代においても「世代内交流あり」,「世代間交流あり」は交流していない者と比較して精神的健康状態が良好であった。世代内/世代間交流の組み合わせと精神的健康との関連では,両世代において,「世代内交流のみ」と比較して「交流なし」は精神的健康が有意に劣り,「両世代交流あり」は良好であることが示された。結論 若年層と高年層において世代内交流ならびに世代間交流が良好な精神的健康と関連し,両世代と交流している者はさらに精神的健康が良好であることが示唆された。
著者
村山 幸子 倉岡 正高 野中 久美子 田中 元基 根本 裕太 安永 正史 小林 江里香 村山 洋史 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.452-460, 2020-07-15 (Released:2020-07-31)
参考文献数
30

目的 地域住民間のコミュニケーションの活性化や,子どもの公共心および社会性の醸成等を目的として,多くの自治体や小中学校で「あいさつ運動」が実践されている。しかし,こうした取り組みの意義を裏付ける実証データは乏しい。本研究では,1)周囲の人々からあいさつをされることが子どもたちの自発的なあいさつ行動と関連するのか,また,2)子どもたちにとって日常生活場面におけるあいさつの多寡が,地域愛着と援助行動と関連するのかを検証する。方法 東京都A区および神奈川県川崎市B区在住の小学4-6年生の児童1,346人と中学1-2年生の生徒1,357人を対象に自記式の質問紙調査を実施し,2,692人から有効回答が得られた。本研究では,小学生と中学生のデータを層別に分析し,それぞれについて以下の統計解析を行った;1)性別と学年を制御変数とし,周囲の人々からあいさつをされる頻度と児童・生徒が自らあいさつをする頻度の関連を検証する偏相関分析と,2)児童・生徒のあいさつ頻度と,居住地域への愛着および援助行動の関係を検証するパス解析を実施した。結果 偏相関分析の結果,調査対象者の性別と学年を問わず,周囲の人々からあいさつをされる頻度と,児童・生徒が自らあいさつをする頻度との間に正の相関関係が認められた。さらに,パス解析の結果,あいさつをされる頻度が地域愛着と関連し,あいさつをする頻度が地域愛着および援助行動と関連するというモデルが得られた。当該モデルは,小学生と中学生の双方で高い適合度が認められた。結論 子どもたちにとって,日常生活場面で周囲の人々とあいさつを交わすことは,居住地域への愛着を強めることが明らかとなった。とりわけ,彼らが自発的にあいさつをすることは,他者への援助という具体的な行動にも結びつくことが明らかとなり,家庭・学校・地域であいさつを推奨することの意義が実証された。あいさつされる頻度とあいさつする頻度に関連が認められたことから,周囲の大人による働きかけが,子どもたちに自発的なあいさつ行動を定着させる上で重要になると考えられる。
著者
星野 高志 小口 和代 大高 恵莉 木戸 哲平 田中 元規 早川 淳子 佐藤 浩二 後藤 進一郎
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.432-439, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
23

【目的】回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期)における移乗・トイレ・歩行の自立判定と,自立後の転倒を調査した。【方法】対象は回復期の脳損傷者135 名とし,各動作の自立および自立後の転倒状況を調べた。自立は,①療法士が動作評価,②病棟スタッフが実生活で動作観察評価,③医師を含む多職種で判定した。また入棟時FIM,SIAS 運動,BBS を自立後の転倒の有無により比較した。【結果】各自立後の転倒者は,移乗自立77 名中9 名(11.7%),トイレ自立70 名中3 名(4.3%),歩行自立60 名中8 名(13.3%)だった。転倒者の入棟時の機能は,移乗ではFIM 運動,SIAS 運動,BBS,歩行ではBBS が有意に低かった。トイレでは有意差はなかった。【結論】移乗,歩行自立者の約1 割が転倒していた。移乗,歩行自立者のうち運動機能が低い者が転倒していた。今後,客観的指標を含めたさらなる検討が必要である。
著者
田中 元浩
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.12, no.20, pp.47-73, 2005-10-20 (Released:2009-02-16)
参考文献数
61

本稿の目的は,畿内地域での古墳時代初頭土器群の成立と展開を把握し,そのうえで土器様式の構造や地域集団の抽出,地域集団間の関係の強弱を明らかにすることである。田中琢氏によって設定された庄内式土器は,当初考えられたような畿内地域通有の土器様式ではなく,その展開や分布に一定の偏在性が認められる。また資料の蓄積が一定程度に達した現在では,庄内式土器,布留式土器といった土器様式は単純な様相を示すものではなく,甕形土器・精製器種に複数の系統が存在することが指摘されつつある。以上の視点をもとに本稿では,畿内地域における古墳時代初頭前後に出現する庄内甕・布留甕・精製器種各群といった製作技術を共有する土器群の展開を,共通する時期の構成比率によって検討した。こうした分析の結果からは,新たに出現する庄内甕・精製器種B群といった土器群は中河内地域の中田遺跡群でその成立をみるとともに,その後の展開については中河内地域と,纒向遺跡を中心とする大和東南部,摂津・北山城・南山城地域に存在する拠点集落同士の交流をもとに,各地域へ展開していくことが明らかとなった。一方布留甕の成立については,各地域の庄内甕・精製器種B群の展開の中心となった集落において複数の分布の拠点が認められる。また細部の形状や技法等の検討からは,各集落での布留甕には型式的な差異が認められ,こうした違いは前段階の在地での庄内甕製作基盤の有無と山陰地域からの技術的影響の強弱が関係している。古墳時代初頭土器群の土器様式の構造については,庄内甕・布留甕・精製器種B群といった各土器群が胎土・展開時期・分布において各地域で複雑なあり方を示す。また,分布する庄内甕の特徴によって分布圏が形成され,さらに分布圏の内部で土器群の展開にみられる拠点集落とその周辺集落との間には,構成比率に中心―周辺関係が形成され多様な範囲や集落間関係が存在することが明らかとなった。
著者
田中 元一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.798-799, 1989-08-20

1988年5月5日「こどもの日」に, 日本テレビ開局35年番組「チョモランマがそこにある」で頂上からの360°パノラマ風景のテレビ生中継に成功し, 世界の茶の間にその感動を伝えることができた.その実現までの問題やエピソードを紹介する.
著者
宮本 裟也 佐藤 仁 栗原 祐史 田中 元博 稲田 大佳暢 堅田 凌悟 守谷 崇 安田 有沙 代田 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.197-203, 2021 (Released:2021-12-22)
参考文献数
23

Acromegaly is an endocrine disease caused by excessive secretion of growth hormone (GH) after the end of the growth period, due to a pituitary adenoma. Mandibular prognathism, tongue hypertrophy, and bulging of the eyebrow arch are observed in the maxillofacial region. We describe a case with acromegaly for which surgical orthodontic treatment was performed after excision of the pituitary adenoma. A 47-year-old woman who became aware of enlargement of the size of the hands and feet from 35 years old was diagnosed with acromegaly by the Department of Neurosurgery because of a high GH level and a pituitary tumor on MRI. In September 2014, chemotherapy was performed after tumor resection via the nasal cavity. In March 2016, she was referred to the Department of Orthodontics of our hospital for further examination and treatment of malocclusion. Overjet and overbite were −5.0mm and +2.5mm, respectively. The occlusal relationship of the molars was Angle class Ⅲ. Angular analysis of lateral cephalometric analysis showed SNA: 80.0°, SNB: 77.0°, ANB: 3.0°, and FMA: 37.9°. Mandibular prognathism was diagnosed based on a Wits appraisal of −7.1. Since there was no clinical activity of acromegaly and hypertrophy of the hard and soft tissues due to acromegaly had stopped, and serum insulin-like growth factor-1 was well controlled by chemotherapy, orthognathic treatment was started in April 2016 and bimaxillary surgery was performed in January 2019. The occlusal relationship was stable and there was no recurrence at 2 years after the surgery. Since acromegaly has various complications, it is necessary to create a treatment plan considering the complications, and to perform extended follow-up due to the potential for recurrence of the disease.
著者
田中 元志 矢島 拓明 新山 喜嗣
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.141, no.6, pp.720-726, 2021

<p>Eye movement was measured when food and wear pictures that consisted of four items with different positions were subjectively evaluated by seven-grade scale (like - dislike), and the relationship between the subjective evaluation and feature parameters obtained from eye fixation and scanpath was investigated. In results, a significant relationship between the saliency of pictures obtained by GBVS and the normalized total fixation time was not observed. And the eye movement at the initial state might be similar, independent of the saliency of items in the pictures. The fixation time to the item of the negative `dislike' evaluation became relatively longer, when the evaluation was negative irrespective of the experimental condition. These feature parameters would be useful for quantifying the evaluation of the pictures.</p>
著者
石黒 梓 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
22

健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである. 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した. 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった. 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.
著者
石黒 梓 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017

<p> 健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである.</p><p> 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した.</p><p> 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった.</p><p> 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.</p>
著者
神津 照雄 村島 正泰 村岡 実 宮崎 信一 坂口 文秋 菱川 悦男 有馬 美和子 田中 元 石島 秀紀 佐久間 洋一 小野田 昌一 平島 毅 磯野 可一
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.2447-2451, 1990

われわれの開発した, 内視鏡ガイド下に食道筋電図, 内圧, pHを同時に測定する方法で, 63例を対象に食道胃接合部病変とくに逆流性食道炎の病態について検討した.その結果, 食道粘膜に酸性化を関知する受容体が存在すると仮定すると, 正常例, 食道炎 (-) 例, および食道炎 (+) でも, その程度の軽いI型ぐらいまでの症例においては, 逆流した酸に対する排出機能が残存していると筋電図の解析からはいえる.しかしそれ以上の進行した食道炎の形態を示す症例ではその機能は消失していると推定される.この一度消失した, 逆流した酸に対する食道の排出機能がどの程度, 可逆性なのかは今後の検討課題である.<BR>この点が解明されると逆流性食道炎に対する外科手術の適応が明確になると考えられる.

1 0 0 0 酸と塩基

著者
田中元治著
出版者
裳華房
巻号頁・発行日
1971
著者
田中 元 鈴木 哲也
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.209-218, 2014

<p> 中高理科教員の免許を取得できる大学の教育系/理学系学部それぞれに於いて化学関連シラバスを調査し、化学用語をノードとしたマップを作成した。今回、マップ作成に当たりノードだけでなくエッジのウエイト評価も行い、マップに採用するノードの選別により妥当性を持たせた。このマップを基に、理学系を教育系の対照とした分析を行い、将来の理科教員に求められている化学リテラシーの姿に迫ろうというものである。結論として、教育系に於ける化学教育はミクロ的領域からマクロ的領域へと理論化学を横断する形を主とし、そこから外れる他の要素の比重は有意に小さいことが挙げられる。ここに見られるものは、化学の使われ方よりも、化学そのものを教えるという目的である。教育系における化学教育の現在の形に於ける改良点、他の方向に向いた発展の可能性が、本研究により示される可能性がある。</p>