著者
島田 智織 小松 美穂子 服部 満生子
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-11, 2006-03
被引用文献数
2

目的;従来から明らかにされてこなかった病院組織におけるコーディネーションを実証的に明らかにする。それによって,看護組織運営における基礎的研究とする。方法;本研究では,医師の集権的なコーディネーションの象徴とされる「指示」に着目し,指示の生まれる場-「指示出し」「指示受け」場面への参与観察を行った。相互作用を明らかにするために会話分析を採用した。結果;(1)日常的に繰り返される「指示出し」「指示受け」の場面では,経験的な手順によって効率的な進行がなされている。(2)その進行においては,看護師が優先的な発話が与えられていると示唆できる。(3)指示は,看護師の同意を必要とするため,変化する可能性をもっている。そのため,「専門家支配」でいわれているような集権的なコーディネーションの象徴とは必ずしもいえない。