著者
服部 美香 舟島 なをみ
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-48, 2009

本研究の目的は、クライエントの問題を解決へ導いた看護師の行動を明らかにすることである。研究方法論には、看護概念創出法を適用し、選択的参加観察法(非参加型)を採用して、看護師が問題を予防・緩和・除去のいずれかに導いた現象をデータとして収集した。持続比較分析の結果は、クライエントの問題を解決へ導いた看護師行動が、9概念【情報収集と査定反復による問題解決過程の推進】【問題解決支援に向けたクライエントへの意向確認と協力要請】【問題の優先順位決定に基づくクライエント要請への即座対応と対応順延】【クライエント独力による問題解決に向けた助力と激励】【原則に則した手段による問題解決と個別状況に即した問題解決手段考案】【問題解決支援に伴う新たな問題発生予測と未然防止のための手段多用】【医療チームメンバー協議による問題解決支援への合意形成と共同】【クライエント拒絶手段受け入れへの説得と説得不可による手段強行】【効果判定による問題解決支援継続と中断】を用いて表せることを明らかにした。考察の結果は、クライエントの問題を解決へ導くために、看護師が問題解決過程を推進するとともに、その全過程を通して、緻密かつ高頻度に情報収集と査定を行っていることを示唆した。また、問題解決過程を推進するためには、さまざまな能力を習得する必要があることをも示唆した。