著者
望月 宏美 山口 隆子
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.135-141, 2021-03-31 (Released:2021-04-23)
参考文献数
15

ツマグロヒョウモンの著しい生息域の拡大は,地球温暖化の影響として広く一般に知られている.一方,近年,本種の食草であるスミレ類(パンジー等)の増加も一要因ではないかと言われているが,実際に双方の関係性に関する研究論文は少ない.本研究では,ツマグロヒョウモンの北上を,冬季の最低気温の上昇とパンジーの栽培地域の拡大という観点から複合的に考察した.その結果,1990年代初頭のガーデニングブームを契機に,パンジーの栽培地域は顕著に拡大した事が分かり,全国的な冬季の最低気温の上昇と共に,ツマグロヒョウモンの北上を助長した可能性が示唆された.