- 著者
-
山下 貴司
朝井 克之
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
- 雑誌
- 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.7, pp.686-692, 2019-11-15 (Released:2019-11-15)
- 参考文献数
- 19
若年者自然気胸は肺胸郭不均衡により発症すると考え,若年気胸患者の肺実質の平均CT値を後ろ向きに調査し,正常肺患者との差違について検討した.若年気胸患者の肺実質の平均CT値を後ろ向きに調査し,正常肺患者との差違について検討した.15歳から25歳の男性,若年気胸患者35例,正常肺患者105例について肺実質平均CT値(HU)と胸腔内容積(mL)について検討したところ,CT値は両側とも有意に気胸群のほうが低かった(右:-846.8/-819.9;p=0.005,左:-843.1/-812.1;p=0.002).胸腔内容積は両群で明らかな有意差を認めなかった.またCT値と胸腔内容積は負の相関を示した.このことから気胸患者における肺胞径は正常肺患者に比べて大きいことが示された.この肺胸郭不均衡が気胸発症の根底にあるため,外科的治療の施行にあたっては肺実質の切除はさらなるリスクになることが懸念され,肺囊胞切除に伴い切除される正常肺実質は最小限に留めるべきであると考えられる.