著者
薮崎 努 木下 俊哉 福田 浩一 高橋 義朗
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.906-910, 1994

超流動状態の液体ヘリウム中に導入した中性原子は,気体や固体,他の液体中とは違った独特のエネルギー構造や振る舞いをする.しかし,液体ヘリウム中に中性原子を導入するのに技術的な困難があり,最近まで実験がほとんどなされていなかった.われわれはレーザースパッタ法を開発し,種々の原子や分子を,直接,液体ヘリウム中で生成することに成功した,ここでは,特にわれわれが実験に成功したアルカリ原子を中心に,その光学的特性や光ポンピングによるスピン偏極,光一高周波(マイクロ波)二重共鳴実験;を紹介し,未解決の問題や基礎科学への応用例について述べる.最近,超流動ヘリウム中の原子やイオンへの関心が高まり,世界的にも一つの研究分野にもなりつつある.