著者
森 宏一 木下 俊郎 高橋 萬右衛門
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.49-56, 1981-03-01

インド型品種のSurjamukhiにみられる花青素による葉茎節の一部および節間全面着色は,C-A-P基本遺伝子の各座の上位アレーレの共存下で,優性の分布遺伝子Rin_1が関与して発現される形質であることが明らかとなった。また,Pin_1はPn(葉茎節分布遺伝子)とは独立で,Pl座のアレーレPlおよびPl^wとも異なることが知られた。ただし,Pin_1はPl座と同じ第II連鎖群にあり,Plとは30.9%,lgとは40.0%の組換価を示した。3遺伝子は,lg一Pl一Pin_1の順序に位置すると推定された。これまでインド型では,花青素の稲体着色に係わる多数の遺伝子が知られている。しかし,インド型の花青素着色に係わる遺伝子体系は,著者らが日本型で設定したものと著しく異なり,基本道傍子と分布遺伝子の区別も必ずしも明瞭でない。また,遺伝子の多くはII,VおよびXの各連鎖群に含まれている。今回明らかとなったPin_1は第II連鎖群に一属し,DHULAPPANAVAR(1977.1979)によるPin_<a1>やPin_aとは異なるものと考えられるが,日本型とインド型では連鎖群の異同に不明な点が多いため,文献上からの同定は困難である。Pin_1は日本型×インド型交離から知られたので,両品種群を通じて用いうる新たな標識遺伝子として利用できよう。