著者
表 章 落合 博志 表 きよし 山中 玲子 木下 文隆 竹本 幹夫
出版者
法政大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

1.本研究は、法政大学能楽研究所が調査・蒐集した全国各地の演能記録を基盤に、新たに探索した記録をも加え、催し単位の番組を所定の形式に調理してパソコンかワープロのフロッピーに収納し、それを国文学研究資料館が「連歌資料のコンピュータ処理の研究」で開発したシステムを利用して、データベース化することを目標としており、いわば能楽研究所と国文研究資料館が提携した共同研究である。初年度と2年目に基盤データの集積に力を注ぎ、20000番に近い番組のフロッピーへの収納を完了し、国文学研究資料館の大型コンピュータへの転移も終了した。2.資料数が予想以上に多く、当初意図した明治初年までの記録をすべて集成することを無理であることが明らかになったので、2年目の途中から江戸中期の享保5年(1720)までの分を優先することに方針を変更し、3年目にあたる本年度は、集めた資料の整理・分析に重点を移した。コンピュータによる曲名索引や演者名索引がその作業にすこぶる役立ったが、それを手掛かりに分析した結果、原資料に年月の誤りや人名の誤記がすこぶる多いことが判明し、それの修正に多大の労力を要した。3.その結果、3年目には、補助者に頼ったデータ集積は順調に進行して、番組集の種類では40余種、催し単位では3000回、曲単位では30000番にも及んでいるが、その整理は寛文年間までの分(1670年まで)をほぼ終了した段階である。その内の、主たる資料七種の整理結果を本研究の中間発表の形で公表することにし、グループ名義の別記の報告にまとめた。文字を7ポ大に縮小しても第一回分だけで90ページを越え、3回に分載する全体では200ページを越えるであろう。4.本研究は、科学研究費補助金の交付終了後も同じグループによって継続する。法政大学能楽研究所と国文学研究資料館と本研究参加者がその責任を負っている。最終成果の発表は数年先になるが、活字による公表は量的に無理なので、圧縮ファイル、またはCD-ROMによる頒布を考えている。