著者
木下 武徳
出版者
北星学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、3年計画の本研究の3年目であった。昨年度にアメリカの福祉改革の全体像とその民間化の状況、ウィスコンシン州における民間化の特質などについては、まとめた。そのため、本年度は、ロサンゼルスとニューヨークの調査研究とそのまとめを行う予定であった。それを踏まえて、研究業績の概要を述べると、次のようである。第一に、ロサンゼルスには9月3日から12日まで行き、民間化された福祉事務所や管轄しているロサンゼルス・カウンティの社会福祉部の本庁などに訪問調査を行うことができた。そのなかで、インタビュー調査や公開されていない資料等を入手することができた。第二に、それらロサンゼルスでの現地調査を踏まえて、『社会科学研究』(東京大学)に、「ロサンゼルスの福祉改革における民間化の特質-GAINケースマネジメントを中心に」の論文を掲載することができた。これは、民間化された福祉事務所の委託契約の流れとそのインセンティブ収入や成果目標などをどのように設定し、福祉事務所運営を任された企業をいかに行政コントロールしているのかを明らかにした。第三に、これらのアメリカの福祉改革の権限委譲(地方分権、民間化)の枠組みを援用しながら、日本の社会福祉制度をどのように見ることができるのかを『北星論集』(北星学園大学)にて、共著であるが、研究成果を公表した。第三に、ニューヨークの福祉改革における民間化の動向については、昨年度現地に訪問することができなかったため、詳細のつめがまだ不十分であり、これまでの研究を踏まえて2008年度以降に研究成果を公表できるようにしたい。以上