- 著者
-
木下 良二
- 出版者
- Japan Ergonomics Society
- 雑誌
- 人間工学 (ISSN:05494974)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.28-38, 1971-02-15 (Released:2010-03-11)
- 参考文献数
- 37
環境の一因子としての衝撃の意義は, ますます重要になってきているが, この衝撃に対する人体の応答特性についてはほとんど知られていない. 本研究では, 衝撃に対する人体の力学的応答特性を知る目的で, まず. ハンマで衝撃外力を加えるストライカと加速度測定装置とからなる衝撃装置を試作した. この装置を用いて健康男子65名を対象に衝撃速度0.077 [m/sec], 0.16 [m/sec], 0.24 [m/sec], 0.42 [m/sec] の衝撃を人体各部位に加えて応答特性を求めた.前額部での衝撃加速度は他の部位より最も大きかったが, 各部位の特性を検出するためには衝撃速度の小さい衝撃を加えるのが適当である. 衝撃時間は逆に殿部で最も長く, 衝撃速度0.077 [m/sec] の衝撃で0.09 [s] であった. 機械インピーダンスは軟部組織を主体とする部位では約5 [kg・sm-1] 以下, 骨が関係する部位になると約5 [kg・sm-1] 以上の値を示す. 殿部における動的スティフネスは0.5×103 [kg/m], 前額部では27.5×103[kg/m] の値であったが, 各部位のばねの状態をよく表わしている.