- 著者
-
木山 秀哉
- 出版者
- 日本臨床麻酔学会
- 雑誌
- 日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.3, pp.375-386, 2008 (Released:2008-06-07)
- 参考文献数
- 23
長時間持続投与してもcontext-sensitive half-timeが延長しない独特の薬物動態学的特徴を有するレミフェンタニルは, 術後の呼吸抑制を懸念することなく高いオピオイド濃度を維持する麻酔を可能にした. 併用する就眠鎮静薬や筋弛緩薬の必要量が減るなど, バランス麻酔の概念が変化している. 術中の循環動態の安定と, 麻酔終了時の迅速な自発呼吸回復が得られる利点がある. 一方, 筋強直や声門閉鎖に起因する換気困難, 鎮静薬の過少投与による術中覚醒を防ぐことが重要になる. 局所麻酔, 長時間作用性オピオイド, ケタミン等を適切に組み合わせることで, 術後鎮痛への円滑な移行と術後痛覚過敏の防止を図る. 静脈麻酔を安全に行ううえで, チェックリストの使用を推奨する.