著者
木山 秀哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.796-806, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
18

バランス麻酔を適切に行うには薬物相互作用の知識が不可欠である.鎮痛薬濃度,鎮静薬濃度をそれぞれx座標,y座標とすれば,麻酔経過はxy平面上の点の軌跡になる.各種刺激に対する反応確率を示すアイソボログラムを重ね合わせると,薬理効果の推移を表現できる.独Drager社のSmartPilot ViewTMは実測した揮発性麻酔薬濃度,あるいは薬物動態モデルに基づいて計算した静脈麻酔薬・鎮痛薬の効果部位濃度を2次元グラフとして描記する.過去の薬物濃度だけでなく15分先までの濃度予測が可能である.数学的で難解な薬物動態/薬力学をビジュアル化して,質の高いバランス麻酔を可能にする麻酔の「航行支援装置」になり得るソフトウェアである.
著者
木山 秀哉
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.145-156, 2016-06-15 (Released:2017-06-15)
参考文献数
25
著者
木山 秀哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.375-386, 2008 (Released:2008-06-07)
参考文献数
23

長時間持続投与してもcontext-sensitive half-timeが延長しない独特の薬物動態学的特徴を有するレミフェンタニルは, 術後の呼吸抑制を懸念することなく高いオピオイド濃度を維持する麻酔を可能にした. 併用する就眠鎮静薬や筋弛緩薬の必要量が減るなど, バランス麻酔の概念が変化している. 術中の循環動態の安定と, 麻酔終了時の迅速な自発呼吸回復が得られる利点がある. 一方, 筋強直や声門閉鎖に起因する換気困難, 鎮静薬の過少投与による術中覚醒を防ぐことが重要になる. 局所麻酔, 長時間作用性オピオイド, ケタミン等を適切に組み合わせることで, 術後鎮痛への円滑な移行と術後痛覚過敏の防止を図る. 静脈麻酔を安全に行ううえで, チェックリストの使用を推奨する.