著者
水田 誠 上田 毅 木島 寿久 和又 利也 菅沢 章
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.677-680, 2009 (Released:2009-09-05)
参考文献数
11

症例は65歳,女性.2005年5月に直腸癌にて低位前方切除術を受けたが,経過観察中に両側の肺転移が出現し,2006年8月17日に胸腔鏡補助下に左肺部分切除を受けた.その際左乳頭部の色素沈着を指摘され,術後捺印細胞診を行い悪性黒色腫が疑われた.2006年9月6日に左胸筋温存乳房切除術と腋窩郭清を施行した.病理組織診断はHMB-45が陽性で悪性黒色腫と診断された.腋窩リンパ節には転移は認められなかった.術後は直腸癌の再発予防のためUFT/LV内服が行われ,手術から約2年経過した現在いずれも転移再発を認めていない.乳頭部の悪性黒色腫は極めて稀で,文献的には本邦では過去に3例の報告があるのみである.