著者
川嶋 舟 上田 毅 物江 貞雄 内山 秀彦 Schu Kawashima Ueda Tsuyoshi Monoe Sadao Uchiyama Hidehiko
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-5, 2013-06

平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災は,東北地方太平洋岸に大きな被害をもたらした。被災地の一つである福島県浜通り地方は,国指定重要無形文化財にも指定されている相馬野馬追が行われることから,多くの馬が個別に飼養されている地域でもあった。これらの馬は相馬野馬追に騎馬武者として参加するためだけに飼養されており,コンパニオンホースと呼ぶことのできる位置づけに飼養されている。この地域は,東日本大震災における津波被害を受けただけでなく,東京電力福島第一原子力発電所事故の影響も受け,事故直後から避難指示が出されその後警戒区域に指定された場所も含まれ,この地域で被災した馬に対する保護支援には様々な障害があった。震災から1年が経過し,この間に行われた支援および聞き取り調査の結果をまとめ,被災直後の馬の様子や被災後の馬の動向について明らかにすることができた。また,通常時において,馬名,所有者名,飼養場所等の情報を一元化しておくことが,緊急時におけるコンパニオンホースとして飼養される馬の保護および支援活動を行う際には有効であると考えられる。
著者
水田 誠 上田 毅 木島 寿久 和又 利也 菅沢 章
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.677-680, 2009 (Released:2009-09-05)
参考文献数
11

症例は65歳,女性.2005年5月に直腸癌にて低位前方切除術を受けたが,経過観察中に両側の肺転移が出現し,2006年8月17日に胸腔鏡補助下に左肺部分切除を受けた.その際左乳頭部の色素沈着を指摘され,術後捺印細胞診を行い悪性黒色腫が疑われた.2006年9月6日に左胸筋温存乳房切除術と腋窩郭清を施行した.病理組織診断はHMB-45が陽性で悪性黒色腫と診断された.腋窩リンパ節には転移は認められなかった.術後は直腸癌の再発予防のためUFT/LV内服が行われ,手術から約2年経過した現在いずれも転移再発を認めていない.乳頭部の悪性黒色腫は極めて稀で,文献的には本邦では過去に3例の報告があるのみである.
著者
久原 有貴 関口 道彦 小鴨 治鈴 松本 信吾 七木田 敦 杉村 伸一郎 中坪 史典 上田 毅 松尾 千秋
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 = The Annals of educational research (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.43, pp.25-33, 2014

昨今,子どもの健康問題から,幼児期の身体活動の重要性が注目されている。本研究は,森の中で遊びを中心とした保育を行っている森の幼稚園(広島大学附属幼稚園)での身体活動量と体力・運動能力との関係を明らかにした。研究1では5歳児クラスの幼児を対象に歩数という指標を用いて身体活動量を測定した。その結果,森の幼稚園の幼児は一般的な幼稚園の幼児よりも保育時間中に多く歩いたり走ったりしていた。研究2では3~5歳児クラスの幼児を対象にMKS幼児運動能力検査を用いて体力・運動能力を測定し,また,身体活動量と体力・運動能力との関係を調べた。その結果,森の幼稚園の幼児の体力・運動能力は平均的であり,歩数が多い幼児ほど瞬発力とスピードが高かった。研究3では,森の幼稚園の卒園児の体力・運動能力を調べた。その結果,森の幼稚園出身の児童の体力・運動能力は,1年生の時点では平均的で,2年生以降になってから平均よりも高くなっていた。このことから,森の幼稚園という保育環境は幼児期に多くの身体的活動を行うことを促し,それが心情面などへの影響を媒介として,小学校入学以降の体力・運動能力に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
著者
上田 毅 濵上 知宏 福本 陽二 中村 誠一 澤田 隆 清水 哲 遠藤 昭博 浅井 泰雅
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.846-850, 2011 (Released:2011-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は62歳,男性.多発結腸癌および直腸癌に対しD3郭清を伴う直腸切断術が施行された.総合所見がf-StageIIIaであったことから補助化学療法としてカペシタビン単独療法を外来にて開始した.内服開始4日目,歩行困難,全身倦怠感,精神錯乱にて再来され,脳MRIにて白質脳症と診断された.薬剤の中断と対症療法により数日で症状は軽快しMRI所見でも白質脳症に伴う変化は消失した.薬剤性の白質脳症は様々な抗腫瘍薬で発症が報告されているが,カペシタビンによる白質脳症の本邦報告例は無い.自験例ならびに海外の報告からは,内服開始から発症までの期間が数日間と短い傾向があり,初回投与の際に十分な注意が必要と思われる.
著者
石井 良昌 上田 毅
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

近年,障害者スポーツはリハビリテーション分野のみならず学校教育やスポーツ現場において広がっており,様々な環境下で運動活動を行う機会が増えてきている.我々は,過去においてダウン症や自閉症などを有する知的障害児・者の運動様相の違いに関してバイオメカニクス的な手法を用いて科学的にとらえて検証を行ってきた.従来行われてきた知的障害児・者に対する研究は,研究室内で環境を一定にした状態で行われた研究や対象数の少ない事例報告が多かった.今回の研究では,軽量化で携帯が可能となった無線の測定器を対象者に装備させて,様々な環境下で行われる実際の集団スポーツ活動中の生体変化について測定を行うものである.本年度は知的障害児における夏期の体育活動時の心拍数について検討した.対象は,知的障害をもつ児童4名(男性2名、女1生2名:平均年齢9.0歳)であった.夏期(気温31.2℃、湿度68%)の屋内体育館で体育活動(約30分間)を行い,その間の心拍数(Polar社RS400)を経時的に計測した.体育活動の内容はウォーミングアップ(ストレッチ、ジャンプ、ランニング)3分,休憩1分,なわとび2分,休憩6分,バレーボール10分,クールダウン(ジョギンク)2分であった.運動指導は経験の多い指導者1名が,集団指導(7名)の形で行った.その結果,4名の平均心拍数は安静時では99.8±142bpmであったが,運動中ではそれぞれ準備運動147.3±8.8bpm,なわとび161.5±9.9bpm,バレーボール137.0±21.3bpm,ジョギング164.5±22.9bpmであった.また,最高心拍数4名ともにランニングおよびなわとびの際に187-205bpmの高値を示した.体育運動中に元気な活動をしているようにみえても,比較的高い心拍数を示していた.特に夏期の暑い時期には、休憩を多く取るなど十分な配慮を行いながら行うべきであると考えられた.
著者
黒川 隆志 上田 毅 黒坂 志穂
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

持久走中の生理学的特性や運動学的特性,走者の意識から生涯体育につながる持久走の指導法を検討した.小学5年生男子30名(1,000m),中学2年生男子57名(2,000m),高校2年生男子27名(3,000m)を対象に,①最大努力の全力法,②「ややきつい」感じのRPE法,③走能力により走距離を選択する内回り法の3つの持久走を実施した.中学生と高校生の全力法では走速度と心拍数の経時的低下から,高い運動強度による疲労感や痛みが持久走嫌いを助長した.RPE法と内回り法では持久走中,走速度と心拍数が維持された.RPE法が最も好まれた方法であった.小学生では,3種類の持久走間に顕著な差はなかった.