著者
木庭 博美
出版者
大分大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

プリント配線パターンを基板上に作る方法のなかで、プリント基板加工機による生基板からパターンを削り出す方式は、低コスト、短時間加工が可能で、試作・少量基板の作製に最適である。本研究は、パソコン制御によるプリント基板加工装置を安価に製作し、教育に活用することを目的とする。製作した装置は、まずパソコン用基板CADソフトを用い、回路図またはプリント配線パターンを描き、パターンデータ(数値データ)を得る。次に作成した制御ソフトを用い、パターンデータを元に、製作した加工機を制御し、切削と穴あけをし、プリント配線板を作る。加工機本体は、X、Y、Zの各軸を台形ねじ型アクチュエータで作り、Z軸には小型電気ドリルを取り付けてある。各軸はステッピングモータで制御する。モータの駆動に専用の駆動用ICを使用することにより、制御ソフト、回路とも簡略化でき、細かい制御が可能である。加工範囲は150mm×100mmである。制御ソフトは、パターンデータを本装置用のNCデータに変換し、穴あけ用と切削用に分け、さらに穴あけ用は穴の径ごとに分離し、各NCデータのファイルを作る。次にNCデータを読込み、X、Y、Z軸用ステッピングモータの制御信号を作り加工機を制御する。ファイルごとにエンドミル、ドリルを交換しながら繰り返す。既存の物品を使用したり、手作りすることにより、プリント基板加工装置を安価に製作した。また、本装置を学生が自由に使用できるように、装置の取扱い説明書を作成し、電子回路の作製に利用した。今後も、卒業研究やものづくり教育などで本装置を活用する。