- 著者
-
宇津宮 孝一
- 出版者
- 大分大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1997
生産現場では,バーチャルリアリティ(VR)技術を用いて,設計・製作対象の共有や3次元的操作,臨場感のある3次元表示.模擬実験等を通じて,現場と同じ感覚で「もの」を創造できる,情報通信技術に基づいた仮想作業場の提供が,新製品早期開発のために強く要請されている。一方,構想設計段階で人間の両手が「もの」を表現・制作する過程は重要である。高精度センシング機能や触覚機能をもつ電子グローブ装置を用いて,手本来の表現能力を生かし,非専門家でも「体感経験」しながら「もの」の制作ができる人間指向インタフェースが求められている。本研究課題では,仮想環境でVRの空間インタフェース技術を用いて,もの造りを現実と同等に試行でき,その結果が実生産に直結できる協創型仮想ワークベンチの構成法に焦点を当てて,次の研究を実施した。(1) 実仮想統合設計生産モデルとその構成法遠隔地の人々が,高速ネットワークやVRの技術を用いて,現実には製作困難な製品などを仮想環境内で協同で創造し,実生産に継ぎ目なく移行できる実仮想設計生産モデルとその構成法について,打上げ花火の設計・製造過程を題材として取り上げ,VRを基盤にして研究を行った。(2) 3次元仮想造形用感覚機能統合型インタフェースの実現法人間が両手で行うのと同様な方法で,両手電子グローブを用いて仮想物体の造形と3次元物体の形状入力を直観的操作で行うための手法とその実現法について,主としてジェスチャインタフェースの研究を行った。(3) 協創型仮想環境の構築法両手ジェスチャインタフェースや象形的手振りを用いた大型画面上の3次元仮想環境を構築した。そして,現実世界では困難な作業を複数の人間が協同してやっていくことが可能な協創的な環境を試作し,幾つかの題材を用いて,試作した環境の有効性や効果について考察した。