著者
石井 啓義 寺尾 岳
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

今回の研究では、日本全国を対象として水道水リチウムと自殺率の関連を、自殺に影響を与える可能性のある種々の要因で補正しながら検討することが目的であった。日本全国の785市と東京都の23区を合わせた808市・区の水道水を全て採取し、それらのリチウム濃度を測定した。自殺の標準化死亡比(SMR)を2010年~2014年の5年分算出しその平均値を自殺率として使用した。自殺率を従属変数とし、各市・区の水道水リチウム濃度、8地方、水道水リチウム濃度と各地方の交互作用を独立変数とし、人口による重み付けをしながら重回帰分析を行った。その結果、日本全国においても水道水リチウムは男性の自殺率の低さと有意に相関した。
著者
前田 寛 岡内 優明
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,トップスピンのボールを打つ時のラケットスイング動作が,手関節に与える負担の割合をグリップ角度の違いという観点から明らかにし,手首に障害を起こさないラケットのスイング方法を探ろうとした.そこで,手関節の3軸周りのオイラー角と,ラケットスロート部に生じる撓みから手関節にかかるトルクを測定した.その結果,手関節にかかる最大トルクはグリップ角度の違いに関わらず同様な値を示した.しかし,ウエスタングリップ,所謂厚いグリップでは,オイラー角の変化をみると回内運動が主に使われており,回内運動はパワー特性にすぐれているため,手関節に負担が小さいと考えられた.
著者
財津 庸子 中西 雪夫 柳 晶子
出版者
大分大学
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.73-84, 2005-04

本研究は、家庭科カリキュラムの改善に示唆を得ようとする日本家庭科教育学会の一連の研究に属する。我々は、同学会が実施した全国調査の結果について検討し、さらに必要な幾つかの追加調査を行った。本調査は教員志望大学生を対象に、全国及び九州地区で実施した小中高校生対象の調査とほぼ同一内容のアンケートを実施したものである。その結果は家庭科教員養成カリキュラム改善へ反映させていきたい。調査内容は部屋での過ごし方、使い方に関するもので、自由記述による質問紙法を採用した。結果を以下に述べる。1)大学生は、小中高校生と比べて、自分にとって過ごしやすい空間を自分で整えるための具体的行動が増加する傾向がある。2)発達段階や男女による記述内容の傾向の違いが認められた内容については、取り扱いの検討が必要であると考えている。3)所得希望教員免許別では、顕著な差は見出されなかった。以上の結果より、今後の家庭科教員養成カリキュラムにおいては、大学生の住生活についての意識や実態をふまえて、学習内容や学習方法の具体的な検討が必要である。
著者
黒木 千尋
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

目的は、水素ガスの脳保護作用とフリーラジカルの関係を検証し、水素ガス投与が脳のエネルギー代謝にどのように影響するかを明らかにすることである。エダラボンは臨床で良く用いられているラジカル捕捉剤である。同一実験系で水素ガス(4%~50%)とエダラボン(10~5000μM)のEC_<50>を算出した。水素ガスはラジカル捕捉能が見られずEC_<50>の算出は不可能であった。一方、エダラボンのEC_<50>は705μMであった。平成21年度の結果と合わせ「水素ガスがラジカル捕捉能を持ち、それにより神経細胞保護作用を及ぼす」という説は支持できない。ラットの脳スライスを凍結破砕し抽出を行い、^1H-NMRおよび^<31>P-NMRを行った。虚血再灌流モデルを用いて、虚血再灌流負荷前後の代謝物の測定を行った。4%および8%水素投与群とコントロール群の比較(Tukey多重比較)をした。N-アセチルアスパラギン酸の負荷後/負荷前比は、それぞれ77.1%, 61.4%, 69.3%であり、8%水素投与群は4%水素投与群より有意に回復が悪かった(補正p=0.O11)。γ-アミノ酪酸や「クレアチンとホスホクレアチン(PCr)」も、8%水素投与群は4%水素投与群より有意に回復が悪かった(補正p=0.022, 0.035)。その他、^1H-NMRでコントロール群と有意差のある群は見られなかった。^<31>P-NMRによる、PCr測定では8%水素投与群と4%水素投与群に有意差は見られなかった。β-ATPは、それぞれ53.8%, 60.6%, 54.1%であった(有意差なし)。平成21年度の結果と比較して、抽出物の実験でもβ-ATPの様に同様の傾向は見られている。水素ガスは神経保護効果を及ぼす程のラジカル捕捉能があるとは言えないが、4%では神経保護作用があり、8%を超えると神経細胞に障害を与える可能性を考えなくてはならなくなった。
著者
廣野 俊輔
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,自立生活センターのアドヴォカシー機能を実証的に明らかにすることを目的としたものである。とりわけ,各自立生活センターがそれ以前の障害者運動のアドヴォカシーに関する活動をどのように継承させていったかに注目しつつ研究を行った。その成果は3つに分類できる。第1にアメリカの自立生活運動を日本の障害者がどのように受容し、具現化していったのかという点に関する研究成果である。第2に、自立生活センターを発足する前の活動が自立生活センターとどのようなつながりをもっているかに関する研究成果である。第3に自立生活センターの周辺の障害者運動に関する研究成果である。
著者
久保 加津代 西島 芳子 曲田 清維
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

温暖地域(九州・四国地方)の,地域に根ざした伝統的な住生活法について調査した結果,つぎの点があきらかになった。1.掃き出しの開口部や3本溝などを活用して開放的な間取をもち,高床に風を通し,深い軒の出をもって日照を遮っている,ハード面での工夫だけではなく,夏には,窓を開け,植栽や軒先に仕込んだ日よけ障子の活用や打ち水などのソフト面でも「気を用いて」「ていねいに」暮らしている。2.縁側やミセやショウギやオキザなどを活用して,夕涼みやひなたぼっこなどを楽しみ,地域に根ざした住生活は地域コミュニティをも育んできた。3.世代間による環境適応力の違いは大きく,子どもや若者の季節感・住環境適応力低下傾向は著しい。地域差もみられる。4.世代間交流の視点で,「庚申庵伝統文化こども教室」「ふれあいセンターもやい」の活動や家庭科の授業やケーブル・テレビについて,具体的に検討することができた。異世代間交流の可能性は大きい。5.高等学校家庭科『家庭総合』の教科書は,地域に根ざした住生活や健康的で持続可能な住生活についての記述が豊富になりはじめている。地域に根ざした,健康で持続可能な住生活をするために,ゆっくり,ていねいに日常生活を営むことの重要性を世代間で交流していきたい。
著者
山岸 治男
出版者
大分大学
雑誌
生涯学習教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-24, 2005-03

21世紀社会の目標の1つとして、しばしば「福祉社会」の実現が主張される。それには、社会的合意過程において民主主義が成熟しなければならないが多数の市民が責任ある態度で社会参画し、相互合意による相互援助活動を自覚的に継続するには、市民一人ひとりが生涯各期において年齢相応の学習を重ね、社会を構成する一市民としての自覚を高める必要がある。本稿はこうした学習を促す社会システムとしての教育のありかたを検討するものである。
著者
西野 浩明
出版者
大分大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

平成7年度に開発した「大分大学工学部の3次元ウォークスルー機能」をもとに,以下の項目に関して設計,プロトタイプシステムの開発および実験・評価を行い,その有効性と実用性について実証的研究を行った。1.3次元モデルの分割定義および処理方式の開発:立体視用の液晶シャッターメガネと,視点検出のための磁気センサを利用し,描画対象物の形状と視点からの距離に応じてモデルを分割し,階層的に定義する手法を開発した。さらに本手法を,ネットワークを通して複数利用者間で共有し,使用するマシン性能やグラフィックス描画性能,ネットワークの帯域幅や同時利用者数等に応じて,動的に性能最適化を行うことができる分散仮想環境フレームワークとして拡張した。2.プロトタイプシステムの開発:上述の分散仮想環境フレームワークを実現するソフトウエアを設計・開発した。さらに,ネットワーク上で実験および評価を行うために,新作打上げ花火の設計,試作,製造および花火大会実施までの全プロセスを,仮想環境で行う事が可能な「3次元仮想打上げ花火システム」を,分散仮想環境フレームワーク上に実現した。3.インターネット上での実験と評価:3次元仮想打上げ花火システムのインターネット上での利用実験を行い,本研究で開発を行った手法が,従来のサーバ・クライアント型情報検索のみでなく,対等な関係にある複数ユーザ間での協同作業に有効であることを検証した。以上の研究成果を1996年7月のVRST'96(香港),1996年9月のVSMM(岐阜)および1996年11月電子情報通信学会「マルチメディア・仮想環境基礎研究会」(大分)にて発表した。今後は,大規模ネットワーク環境での評価および本システムの改良を行う予定である。
著者
宇津宮 孝一
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

生産現場では,バーチャルリアリティ(VR)技術を用いて,設計・製作対象の共有や3次元的操作,臨場感のある3次元表示.模擬実験等を通じて,現場と同じ感覚で「もの」を創造できる,情報通信技術に基づいた仮想作業場の提供が,新製品早期開発のために強く要請されている。一方,構想設計段階で人間の両手が「もの」を表現・制作する過程は重要である。高精度センシング機能や触覚機能をもつ電子グローブ装置を用いて,手本来の表現能力を生かし,非専門家でも「体感経験」しながら「もの」の制作ができる人間指向インタフェースが求められている。本研究課題では,仮想環境でVRの空間インタフェース技術を用いて,もの造りを現実と同等に試行でき,その結果が実生産に直結できる協創型仮想ワークベンチの構成法に焦点を当てて,次の研究を実施した。(1) 実仮想統合設計生産モデルとその構成法遠隔地の人々が,高速ネットワークやVRの技術を用いて,現実には製作困難な製品などを仮想環境内で協同で創造し,実生産に継ぎ目なく移行できる実仮想設計生産モデルとその構成法について,打上げ花火の設計・製造過程を題材として取り上げ,VRを基盤にして研究を行った。(2) 3次元仮想造形用感覚機能統合型インタフェースの実現法人間が両手で行うのと同様な方法で,両手電子グローブを用いて仮想物体の造形と3次元物体の形状入力を直観的操作で行うための手法とその実現法について,主としてジェスチャインタフェースの研究を行った。(3) 協創型仮想環境の構築法両手ジェスチャインタフェースや象形的手振りを用いた大型画面上の3次元仮想環境を構築した。そして,現実世界では困難な作業を複数の人間が協同してやっていくことが可能な協創的な環境を試作し,幾つかの題材を用いて,試作した環境の有効性や効果について考察した。
著者
西野 浩明 宇津宮 孝一 吉田 和幸 賀川 経夫
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本課題では,「仮想と現実を継ぎ目なくつなげる仮想環境」を構成するために,「現実と仮想の間に人間が違和感を覚える境界」を明確化し,それに基づいて,利用者に違和感を与えないリアルな仮想環境を描出する手法に関して研究開発を行った。このために,人間の感性を利用してシステムの最適化を行う対話型進化計算法に,認知科学や免疫学等の知見を融合した仮想環境の構成法とソフトウエアを設計・開発した。また,仮想物体の質感表現,技能の記録と伝習など,利用者の違和感がシステムの機能・性能に大きく影響するような応用分野に提案手法を適用し,その有効性を実証的に評価・検証した。
著者
垣田 裕介
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度に行った研究活動は、主に次の3点である。第1に、前々年度および前年度に引き続いて、ホームレス問題や貧困・社会的排除論に関する先行研究成果のレビューを行った。本研究課題に関する文献・資料は、急速な勢いで量を増してきており、効率的にサーベイし、重点をふまえたレビューを行うためにも、全国レベルの学会や私信・メール等を通じて、研究論文の著者や関係者との意見・情報交換なども積極的に進めてきた。学内外の研究会等においても先行研究のレビュー報告や意見交換を行った。第2に、本研究課題に関する実態把握を目的として、共同研究者らと前年度に兵庫県尼崎市で行ったホームレス実態調査の分析を行い、その結果の分析および報告書執筆の作業に携わった(大阪府立大学社会福祉調査研究会編『ホームレスの実態に関する全国調査及び尼崎市悉皆調査報告書』2008年)。第3に、以上に関する研究作業を発表する作業であり、雑誌論文や共著を発表した。以上のように、平成19年度の研究活動は、先行研究のレビューや実態分析を中心として進めてきた。3年間の交付期間を通して、先行研究や実態調査データなど、非常に多くの豊富な研究材料を得ることができたため、引き続き分析・研究作業を進めていくことが課題となるとともに、当面の筆者の研究活動の深化を図ることのできる環境が整備されたといえる。
著者
吉松 博信 加隈 哲也 正木 孝幸
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ストレスと肥満症における脳内神経ヒスタミン機能を明らかにするために、平成22年度は以下のような研究成果をあげた。1)痛覚ストレスおよび情動ストレスは負荷後24時間の1日摂食量を有意に減少させた。2)4時間拘束ストレスは負荷後24時間の1日摂食量を減少させた。3)飢餓ストレスとしての72時間の絶食負荷後、再摂食時の摂食量はストレス負荷前の摂食量と比べ有意に減少した。4)インスリン誘発性低血糖はインスリン投与後2時間の摂食量を有意に増加させた。5)寒冷ストレスは食行動に影響しなかった。6)tail pinchによるストレス負荷は食行動を誘発した。以上の実験結果から各種ストレスは主に摂食行動を抑制する方向で作用するが、寒冷ストレスは効果がなく、tail pinchは食行動促進性に作用するなど、ストレスの種類にともない反応が異なることが確認された。現在これらのストレスの慢性負荷による影響を検討している。また3),4)より飢餓ストレスの効果は低血糖などのエネルギー欠乏が直接原因ではなく、エネルギー欠乏によって生じる神経ヒスタミンの増加など、他の要因の関与があることが示唆された。そこで、ストレスと神経ヒスタミンに関して以下のことを明らかにした。7)拘束ストレスによる食行動抑制反応はヒスタミンH1受容体欠損マウスでは有意に減弱した。8)拘束ストレスは視床下部において、ヒスタミン合成酵素であるhistidine decarboxylase (HDC)のタンパク量を有意に増加させた。9)拘束ストレスは視床下部の神経ヒスタミン代謝回転を有意に増加させた。10)寒冷ストレスは視床下部のHDCタンパク量を有意に増加させた。以上より、拘束ストレスによる摂食抑制作用は神経ヒスタミンを介していることが明らかになった。他のストレスによる神経ヒスタミンの動態変化を現在解析中である。
著者
中川 幹子
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

心臓の冠動脈の太い血管には狭窄がなく、微小な血管の循環障害により起こると考えられている微小血管性狭心症は、中年女性の胸痛の原因として注目されているが、確立された診断法や治療法はない。若年健常男女を対象に、心エコー法を用いた冠血流予備能の測定を行い、漢方薬の桂枝茯苓丸の効果を検討した。桂枝茯苓丸の内服後に冠血流および冠血流予備能は有意に増加した。桂枝茯苓丸は冠血流予備能を増加する可能性があることより、微小血管性狭心症の治療薬としての有用性が期待される。
著者
朴 順愛
出版者
大分大学
雑誌
国語の研究 (ISSN:09173544)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-14*, 2003-11
著者
麻生 和江
出版者
大分大学
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.319-328, 2003-10

極端な細身が優位とされる風潮がある。様々なダイエット志向の情報も氾濫し,猟奇的で残虐な犯罪の報告も多い環境にあって,身体が玩具のように物化される危機感を感じる。教育,表現,健康の視点から、若者(大学生)には自分の「からだ」を防護する手だての指導は緊急の課題と考えられる。そこで本稿では、その手がかりとして、形状、運動機能、健康・自己制御の視点から、大学生におけるからだへの意識を把握することを目的として質問紙による調査を実施した。結果として全体的には、半数以上の学生が今の自分の形状に不満があり、細身への変身願望が強く、女子は男子に比べて細身への変身願望が顕著であった。また、調査対象の約8割は運動が好きと回答し、男子は女子より運動好きが多く、動きの機能においても男子の方が女子より高く自己評価する傾向がある等、大学生における「からだ」への意識の一端を把握することができた。