著者
西 望 斉藤 幹 小山 高夫 木戸 豊 生山 博 片山 芳文
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

子宮頸癌患者手術時採取のヒト黄体組織のインビトロにおける培養実験よりメジュ-ム中に放出されるプロゲステロン、ランドロステンヂオン F2および細胞ホモゲネ-ト抽出液中のサイクリツクADMP、同GMPはいづれも10_-7のモル濃度で抑制されることが観察されたが2の濃度より生理的なものではないが薬理学的量を投与すれば性機能を抑制せしめることが出来ることをましている。ヒトにおいてin uivo、で脈波状にLHRHを投与する。下垂体は大量のLHを放出するためのLH/FSH比は増大する。そのアゴニストの投与は下垂体のダウン調節によりゴナドドロピンの放出は着減する。Yの際初段階において一過性にゴナドトロピンは増量するためこの活用で二次的に性腺もダウン調節をうける。この三つの作用でLHRHアゴニスト投与の際は性機能の一時的静止を誘起出来ることがわかった。また同アゴニストの50μgをプロピレングリュ-ルに溶解膣座薬として使用せしめると微量の持続的吸収DによりFSHの上昇と血中E_2の着明の上昇をもたらし卵胞発育と極めて良好な黄体が生じることが判った。以上の基礎的観察より、LHRHアゴニストの点鼻および膣座薬による子宮内膜症子宮筋腫の患者についてその自覺症状他覺的所見よりその効果を判定腫瘍マ-カ-にて経過を追跡した。子宮内膜症で80%以上の症例に自覺他覺的所見共改善がみられる子宮筋腫ではサイズの減少は希待出来なかったが貧血の改善出血量の軽減が殆んど前例にみとめられた。膣錠による視床下部性排卵障碍〓者の排卵誘発を試みたが血中DHEA-SとLHの下降FSHの上昇によりLH/FSH比の着明の改善がみられ5名の妊娠成功をみた。BBTより判定しても黄体機能の着明の改善が推定された。前者の内膜症加療効果は投与中止により再発率が高くまた症例の中で投与前より悪化してくるものや腫瘍マ-カ-でCA19-9等が上昇してくるものがみられている。長期の観察の必要性がある。