著者
室伏 広治 山口 大輔
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

アスリートが高レベルのパフォーマンスを維持するためには、怪我なく長期間トレーニングを継続することが重要である。負荷の高いトレーニングを長時間続ける事により負傷につながるため、多くのエリートアスリートが現役を続けることが困難となる。申請者は、現役時代に腰や股関節などの負傷による困難を打開するため、「ハンマロビクスエクササイズ」を考案し, 負傷部位への過度な負担なくトレーニングの継続が可能となり、38歳でオリンピック銅メダルを獲得できた。本研究では表面筋電、3次元動作解析、フォースプレートを用いてハンマロビクスエクササイズの運動特徴を解明し、アスリートの傷害予防への効果を検討する。
著者
大石 由美子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

肥満や、脂質代謝異常が慢性炎症を基盤とした動脈硬化をすすめるように、免疫と代謝とは、個体や組織のレベルで密接に連携している。そこで、私は細胞のレベルでも免疫と代謝とが連携しているのではないかと想定した。免疫応答に重要なマクロファージの細胞代謝としての免疫応答が、細胞内脂肪酸代謝と密接に連携して制御されることを見いだした。特に、マクロファージが炎症応答の後期に合成する不飽和脂肪酸が、マクロファージの自律的な炎症収束形質への変化と同時に、全身の炎症応答の収束に必須であることを明らかにした。本検討の結果、免疫細胞の細胞内代謝が炎症の慢性化を防ぐ、新たな治療標的となる可能性が示された。
著者
清水 清美 長沖 暁子 日下 和代 柘植 あづみ
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本年度は、昨年度からの調査を継続(対象者35名へ拡大)した。また、成果発表として、第23回日本受精着床学会(ラウンドテーブル)、第16回日本発達心理学会(シンポジウム)、第3回不妊看護学会(一般演題)として提示、医療者、研究者、一般市民やから評価を得た。不妊治療を実施する医師からは、「日本のAIDの方向づけがない。また、AID実施後にカップルが遭遇する問題や課題が分からない。また分かったとしても臨床の現場ではフォローする時間と余裕がない。このような情報提供やカウンセリングを実施する団体、組織があるなら情報提供することは可能である」などの意見があった。また、看護師からは、「AIDを選択するカップルへどう対応したらよいか分からなかった。対象の特性が理解できた。」「子どもへの告知の問題提示をする必要は感じるが、担当医師はそのように考えていない。どのように折り合いをつけたらよいか難しい」等の意見があった。社会福祉士からは、不妊治療を受ける親と生れた子どもの利益が一致しない現状に対し「AIDは社会的な虐待」という子どもの立場に立った意見があった。また、養子縁組を迎えるカップルからは、「自分たちは親の資質を問われるのに、不妊治療により血のつながらない親子関係をつくるカップルが問われないのはおかしい」という意見があった。今後もAID情報を一般の方にも広め、不妊治療を受けるカップルと生れてくる子ども、双方の利益を考えた我が国の治療体制の有り方の実現化に向け、さまざまな立場から討論される必要があると考えられた。また、AIDが実施されているにもかかわらず、医療者自体がその後のカップルや家族の情報を理解していない現状があり、医療者への情報提供の必要性も考えられた。3年間の調査より、AIDを受けるカップルへの情報提供のツールとして、容易に情報を得る手段として小冊子の作成の必要性が考えられた。そこで、A6サイズの小冊子「AIDについて(仮題)」を現在作成している。作成後には関連する不妊治療施設・不妊相談施設に配布予定である。
著者
大貫 茉莉
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

小学生と中学生を対象に4基本味の味覚検査を実施した結果、全体として6.0~20.9%に感受性低下が認められた。本研究では、味覚感受性低下の有無と口腔保健状況とにあまり関連は認められなかった。今後も小・中学生を対象に、より詳細な味覚感受性低下の実態調査や原因究明に関する研究を実施していくことが必要と考えられた。
著者
上村 公一 船越 丈司
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

硫化水素(H2S)の細胞への毒性作用の機序を解明するため、ラット胎児心筋由来細胞(H9c2cells)、ラットII型肺胞上皮由来細胞(L2 cells)にH2S供与体としてのNaHSを暴露した。H9c2 cellで3mM、十数時間後から細胞質の萎縮が観察された。5mMで顕著な形態的アポトーシス様細胞死が確認され、caspase3の活性化が見られた。L2 cellsではNaHS 2-3mM、数十分後から、核凝集、細胞膜のAnnecinVとの反応、Cytochrome Cの細胞質への漏出が確認された。L2 cellsではH9c2 cellsより濃度は低く、短時間で細胞毒性が確認された。H2Sの細胞毒性は組織により感受性が異なっていた。
著者
水谷 修紀 長澤 正之
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

がんは環境因子と遺伝的要因によって発生する。これを証明する方法は多くない。我々は二次性白血病でMLL遺伝子の異常がトポII阻害剤でおこること、また乳児白血病でもMLL遺伝子異常が高頻度に見られることから、乳児白血病は発がんにおける環境要因を明らかにするよいモデルであることを明らかにした(Cancer Res 61(6):2542-6.2001)。一方このような環境負荷のもとでがんを発症する個体としない個体があることに注目して遺伝的要因の解明に至ろうとしている。今回の研究によって環境、遺伝、発がんの流れが解明されると期待され、小児科領域のみならず発がん研究全体に対するインパクトは大きい。乳児白血病患者においてMLL遺伝子異常の頻度が高く、この現象がTopoisomerase II αインヒビターによって引き起こされる二次性白血病でも認められることと、過去の研究においてAT患者細胞がTopoIIインヒビターに高感受性を示すことから乳児白血病患者におけるATM異常の関与を疑い、遺伝子の解析を行い、1例でミスセンス変異を認め、このミスセンス変異が正常ATMの機能を抑制するドミナントネガティブ効果もつことを見いだした。ATMは細胞周期チェックポイントの重要な分子であることから、G2/M期、ならびにスピンドルチェックポイントとMLL遺伝子の切断の関係をMLLの5'側、3'側をプローブとしたFISH法により解析した。その結果、正常細胞ではTopoIIインヒビターによってMLL遺伝子の切断とcleavable complex形成がおこるが、細胞周期はM期をこえず、MLL遺伝子の切断端の位置が変化することはないが、ATM欠損細胞ではM期からG1期へ進行する細胞集団が存在すること、さらにG1期へ進行した細胞においで染色体のダイナミックな変化がおこり、MLLの切断端の位置か大きく変化することを発見した。このことはTopoIIインヒビターによるDNA二重鎖切断の修復と細胞周期チェックポイントの正しい制御が染色体異常の進展を防ぐ重要な要因であることを物語っている。
著者
田中 光一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

中枢神経系の興奮性シナプス伝達は主にグルタミン酸により担われており、グルタミン酸シグナル伝達の解明は脳機能解明の基礎となる。我々の分野では、神経回路網の形成・脳高次機能におけるグルタミン酸シグナリングの機能的役割を分子、細胞、個体レベルで明らかにすることを目指す。また、過剰なグルタミン酸は神経毒性を示し、様々な精神神経疾患の原因と考えられている。精神神経疾患におけるグルタミン酸シグナル伝達の病態生理学的役割を解明し、それら疾患の新しい治療法の開発を目指す。グルタミン酸トランスポーターは、神経終末から放出されたグルタミン酸を取り込み、神経伝達物質としての作用を終わらせ、細胞外グルタミン酸濃度を低く保つ機能的分子である。現在まで脳のグルタミン酸トランスポーターには、グリア型2種類(GLT1, GLAST)と神経型2種類(EAAC1, EAAT4)の計4種類のサブタイプが知られている。本年度は、グルタミン酸トランスポーターのうち、GLASTまたはEAAC1をノックアウトしたマウスでは眼内圧の上昇を伴うことなく網膜神経節細胞が脱落し視神経が変性するという、正常眼圧緑内障と同様な症状が生ずることを見出した。GLAST欠損マウスではミューラー細胞内のグルタチオン含量が減少しており、グルタミン酸受容体阻害薬を与えると神経節細胞の減少が抑えられた。一方、EAAC1欠損マウスでは神経節細胞の酸化ストレスに対してさらに脆弱化していた。これらの事実からこれらのグルタミン酸トランスポーターはグルタミン酸による興奮毒性の抑制に加えてグルタチオンの合成にも必要であることが示唆される。このマウスは正常眼圧緑内障の始めてのモデルであり、今後のこの種の疾患の治療法の探索に有望なモデルであるとしている。
著者
本田 彰子 正野 逸子 炭谷 靖子 荒木 晴美 赤沼 智子 栗本 一美 菊池 和子 王 麗華 上野 まり 平山 香代子 土平 俊子 川上 理子 藤本 奈緒子 安岡 しずか
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、訪問看護師の継続学習と在宅看護学実習における連携融合教育-学習プログラムを開発し、訪問看護事業所と看護基礎教育機関とのユニフィケーションを推進することを目的に実施した。前半では、連携融合教育-学習プログラムに向けて、訪問看護事業所管理者、在宅看護学担当教員に対する学習支援の実態とニーズの質問紙調査、ヒアリング調査を実施した。後半は、連携融合教育-学習プログラムのモデルにつながる研究交流集会、ワークショップを企画実施した。
著者
杉内 友理子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

これまで明らかにされていなかった、輻輳性眼球運動に関与する神経機構を解析した。従来、急速眼球運動の生成に関与することが知られている上丘の頭側部に、輻輳性眼球運動に関与すると考えられるニューロンが存在することが示唆された。その出力は、動眼神経核背側部の中脳灰白質から中脳網様体にかけての領域に存在する介在ニューロンを介して、内直筋および外直筋の運動ニューロンに伝えられると考えられた。
著者
田井 健太郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究プロジェクトでは、近世兵法書を用い、中世に展開された武術の特性について、戦闘技法構造の側面と萌芽的武士倫理性との関連の側面から明らかにした。また、兵法書の中での近世初期の武士倫理が、戦闘者的武士身分観と士的武士身分観の混在状態から、武を司る者による徳治という倫理観への発展がみられることを明らかにした。
著者
二宮 彩子 増田 敦子 小泉 仁子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平均年齢67歳の高齢者27名(男性14名女性13名)に対して、ベッド及び和式布団から起き上がる際の血圧変動について検討を行った。tilt-up試験のように受動的な起立ではなく、圧受容器反射の違いを考慮し日常生活で行われる能動的な起立方法を用いて、仰臥位から立位への姿勢変換時における血圧データを収集した。起立直後の血圧最低値からその後血圧が上昇をする態様を観察した結果、血圧の最低値に対する最高値の割合は、ベッドの場合125%、和式布団の場合134%であった(収縮期血圧)。同じく拡張期血圧においては、ベッドでは108%、和式布団では120%の上昇が見られた。拡張期血圧、収縮期血圧それぞれにおいて、ベッドと和式布団との間で上昇率に有意差が認められた。このことは和式布団からの起き上がりはベッドの場合に比べて、血圧の変動が大きいことを示唆していると思われる。脈圧に関しては、収縮期血圧の変動が拡張期血圧の変動に比して大きいため、起立直後一時的に安静時の約4割にまで減少していた。主観的なめまい、ふらつき感、浮遊感などの症状についての訴えは、ベッドからの起き上がり時で約1割、和式布団からの場合では約2割の者に見られた。特筆すべきことは本人にその自覚がなくても足元がふらついている者が2名、布団からの起き上がり時にみられたことである。ベッドの場合には一度、マットレスの縁で端座位の姿勢を保持することによって、上体を起こす際の静脈還流量減少が和式布団の場合に比べて少なく、同時に足腰への負担も軽減されること等から、布団からの起き上がりよりも身体にかかる負担が少なくてすむと考えられる。一方、和式布団での仰臥位から立位への姿勢変換時には、今回の研究結果からもわかるように血圧の変動がベッドに比べて大きい為、めまいやふらつきによる転倒の予防に十分配慮して立ち上がる必要がある。
著者
竹内 康雄 坂本 光央 小柳 達郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

インプラント周囲炎は歯周炎と類似した臨床症状を呈するが、本研究の結果、その原因となる細菌叢の構成は2つの疾患で異なることが明らかになった。歯周病に関連が深いとされる歯周病原細菌の検出率は、インプラント周囲炎部位では必ずしも高くなく、一方でDialister spp.、Eubacterium spp.、Peptostreptococcusspp.は高い割合で検出された。インプラント周囲炎を治療する上での細菌学的な治療のターゲットは歯周病のそれとは違う可能性がある。
著者
平田 結喜緒 七里 眞義
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

糖質ステロイド(GC)や非ステロイド性消炎剤(NSAID)は炎症や免疫を抑制する薬剤として広く臨床的に用いられている。しかしGCやNSAIDの作用機序については不明な点が多く、血管での誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現に対する効果も未知である。そこで培養ラット血管平滑筋細胞(VSMC)を用いて炎症性サイトカイン(IL-1,TNF-α)によるiNOS発現とNO生成に及ぼすGCとNSAIDの作用を分子レベルで解析した。デキタメタゾン(DEX)とNSAID(アスピリン、サルチル酸)はいずれもIL-1やTNF-αによるNO生成を著明に抑制した。DEXはサイトカインによるiNOS遺伝子の発現を抑制し、この作用はIkBのリン酸化と分解を抑制する結果、NF-kBの活性化を阻止することによることが明らかとなった。一方アスピリンやサルチル酸はNF-kBの活性化やiNOS遺伝子の発現には影響を与えなかったが、iNOS蛋白の発現を抑制した。またアスピリンは直接iNOSの酵素活性を抑制したが、DEXやサルチル酸は無効であった。したがって血管平滑筋では炎症性サイトカインによるNO生成に対してGCとNSAIDの抑制機序の作用点が異なっており、GCはiNOSの転写レベルで、NSAIDは翻訳あるいは翻訳後レベルで阻害していることが明らかとなった。これらの成績は敗血症性ショックや動脈硬化性血管病変における炎症性メディエーターとしてのiNOS由来NOの治療戦略を考える上で重要である。
著者
水野 朋子 今井 耕輔
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

脊髄性筋萎縮症(Spinal muscular atrophy:以下SMA)は脊髄前角細胞の変性によって、進行性に筋萎縮、筋力低下を呈する疾患である。I型が最も重症で頻度が高く、生後半年までに発症しほぼ寝たきりとなる。SMAの責任遺伝子はSMN1遺伝子であり、SMN1の両アレルの欠失あるいは変異により発症する。SMAは従来根本的な治療法のない疾患であったが、2017年より本邦において核酸医薬品が発売され、有効性が確認されている。予後改善のためには早期診断・治療が重要なため、濾紙血を用いSMN1コピー数を測定するSMA診断法を確立し、新生児マススクリーニングを行うことを目的とする。