著者
森田 明夫 村井 保夫 木村 俊運
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.812-819, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Occipital transtentorial approach (OTA) は, 中脳背側, 松果体, 小脳上面の腫瘍等の病変にアクセスする基本的アプローチの一種である. 本稿では本アプローチの基本についてまとめる. OTAは視野が広く, 特に下方へ伸展する病変への対応に優れている. 一方で術後短期間または永続的な視野障害をきたすことがある. これを回避するためには, まず静脈損傷を避けるアプローチ側を選択する. そのうえで髄液圧を減らし, 後頭葉を広く剝離し, 脳表を十分保護しつつ愛護的に後頭葉を圧排しテント面に至る. 手術中視覚誘発電位モニターなどが有用である. その他中脳背側への障害, 静脈損傷などは重度な障害をきたし得るので要注意である. 術前の画像評価を徹底して行い, 適切な解剖学的知識, 手技によって安全な手術を心がけることが重要である.